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「常識」が通用しない患者の親にどう対処するか

2018/04/27
尾内 康彦(大阪府保険医協会)

 このコラムを更新するのは約1年半ぶりとなる。その理由は、つい先日まで、新しい本『続・患者トラブルを解決する「技術」』の執筆に取りかかっていたからだ。患者トラブルは件数の増加もさることながら、年々、その中身が高度化、複雑化している。認知症や精神疾患にかかっている可能性のある患者への対処法に、頭を悩ませている医療機関は数多い。新しい本は、こうしたやや高度な患者トラブルの対応法をまとめたので、ぜひ活用していただきたい。

 この本にも書いたのだが、つくづく「常識」というものが通じない時代になったなと実感している。自分や自分の家族が、患者として医療機関にかかっているのであれば、普通なら多少なりとも「いつもお世話になっている」という感謝の気持ちが先に立つものだが、現在はそういう気持ちを持つ人がどんどん減っているように思える。

 一方、「お金を払っているんだから、いいサービスを受けて当然」「文句や注文は言った者勝ちだ」との考えが広まっているのではないか。

 後者の人の場合、自分にネガティブなことがあった場合、我慢できる度量が小さく、敏感に反応しやすい。自分の思い通りにいかないことがあると、すぐ不機嫌になり、不満の矛先は⽂句を⾔いやすい⼈、つまり医療従事者に向けられる。

 「普通の常識」が通用しない患者や患者家族にどう対応していったらいいのか、以下のケースをもとに皆さんと考えてみたい。

著者プロフィール

尾内康彦(大阪府保険医協会事務局参与)●おのうち・やすひこ氏。大阪外国語大学卒。1979年大阪府保険医協会に入局。年400件以上の医療機関トラブルの相談に乗り、「なにわのトラブルバスター」の異名を持つ。著書に『患者トラブルを解決する「技術」』(日経BP)がある。

連載の紹介

なにわのトラブルバスターの「患者トラブル解決術」
病医院を構えている限り、いつどんな患者がやって来るかわかりません。いったん患者トラブルが発生し、解決に手間取ると、対応する職員の疲弊、患者の減少という悪循環を招き、経営の土台が揺らぎかねません。筆者が相談に乗った事例を紹介しながら、患者トラブル解決の「真髄」に迫ります。
著者の最新刊『続・患者トラブルを解決する「技術」』好評販売中

 ますます高度化、複雑化する患者トラブルに、医療機関はどう対峙していけばいいのか。ご好評をいただいた前著『患者トラブルを解決する「技術」』の続編として、解決難易度の高い患者トラブルの対処法を体系的にまとめました。前著が基礎編、本書が応用編の位置づけですが、本書だけでも基本が押さえられるように構成しています。(尾内康彦著、日経BP社、2052円税込)

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