医師数が激減し、診療に深刻な影響が生じている地方の自治体病院は少なくない。A病院も、そんな病院の1つだ。ベッド数200床未満のA病院は、特に外科系領域の診療で高い評価を得てきた。しかし、内科では常勤医が大幅に減ってしまい、残った医師を疲弊から守るため入院を制限せざるを得なくなった。幾つかの病院から応援医師が駆けつけ、どうにか地域の医療が支えられた。
医師が一挙に減ったのは、新専門医制度が大きく関わっている。内科系領域は、研修病院の指定基準を満たしていないと判断された結果、若手医師が去り、存亡の危機に見舞われたのだ。大きな病院の勤務医からは想像もつかないような苦難を強いられた。
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著者プロフィール
色平哲郎(JA長野厚生連・佐久総合病院 地域医療部 地域ケア科医長)●いろひら てつろう氏。東大理科1類を中退し世界を放浪後、京大医学部入学。1998年から2008年まで南相木村国保直営診療所長。08年から現職。
連載の紹介
色平哲郎の「医のふるさと」
今の医療はどこかおかしい。そもそも医療とは何か? 医者とは何? 世界を放浪後、故若月俊一氏に憧れ佐久総合病院の門を叩き、地域医療を実践する異色の医者が、信州の奥山から「医の原点」を問いかけます。
この連載のバックナンバー
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