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なぜあなたの外来の待ち時間は長いのか

2018/04/27
倉原優(近畿中央胸部疾患センター)

 私は、自分の外来の待ち時間が長くなるのが嫌いです。イライラした患者さんを相手にするのも忍びないですし、何より自分がその立場だったら時間がもったいないと思う。1時間もあれば、小説1冊くらいは読めるかもしれません。

 限られた自分の外来枠に多くの患者さんを予約せざるを得ず、どうしても1~2時間待ちを発生させてしまうドクターは少なくありません。私は、「話し方」と「話の進め方」を工夫すれば、外来の待ち時間の短縮が可能だと考えます。

・話し方
 早口でぺらぺらと話すよりも、ゆっくり話したほうが、患者さんの満足度が高くなります。たとえ5分の外来時間でも、患者さんにとっては10分くらい診察室にいたような満足感が得られることがあります。『ゴッドハンド輝』(講談社)という漫画で、院長の安田潤司医師がおだやかな口調でものすごい早さで手術をするという「タイム・マジック」という必殺技を使いますが、それをそのまま外来に応用すればよいのです。

※「おだやかな口調、ゆるやかな空間……だが、その実、手は超高速で動いている……!」(同病院の片岡貢医師談)

 そのためには、「話の進め方」をある程度外来前に決めておく必要があります。

・話の進め方
 私は呼吸器内科医ですから、肺がんを疑われた患者さんを例に挙げてみましょう。

 肺内に2mmほどの小さな結節がみつかり、去年その陰影がなかったことから肺がんを疑われた人がいました。この場合の正しい対処は、気管支鏡でも外科手術でもありません、2~3カ月おきに注意深く経過を追うことです。なぜなら、2mmほどの小さな結節では気管支鏡が到達できず、外科手術をして悪性でなかった場合に“手術損”になってしまうからです。そのため、2~3回の胸部画像を比較して、増大しているようなら外科手術に踏み切ることになります。

 この場合、以下のような話の流れを頭にイメージしておきます。

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医、インフェクションコントロールドクター。

連載の紹介

倉原優の「こちら呼吸器病棟」
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する医師。日々の診療や、患者さん・他の医療スタッフとのやりとりを通して倉原氏が感じたことを、呼吸器領域ならではのtipsを交えて語ります。呼吸器診療の息遣いが垣間見えるブログです。

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