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学会リポート◎日本胃癌学会2018
新しい胃癌取扱い規約の分類で術後補助化学療法の選択は変わるか?
DS療法の結果は今年のASCOで発表

2018/04/04
森下紀代美=医学ライター

座長の神戸大学大学院外科学講座食道胃腸外科学分野の掛地吉弘氏(右)と国立がん研究センター中央病院消化管内科の朴成和氏(左)

 日本胃癌学会の胃癌取扱い規約が7年ぶりに改訂され、第15版が2017年10月に発行された。

 2018年1月に発行された胃癌治療ガイドライン第5版では、胃癌の術後補助化学療法として、Stage IIの場合はS-1単剤療法が推奨され、Stage IIIの場合は各患者のリスクベネフィットバランスを考慮したうえで、S-1単剤療法、CapeOX療法(カペシタビン+オキサリプラチン)、SOX療法(S-1+オキサリプラチン)を選択することが推奨されている。ただし、このガイドラインの根拠となっている試験の1つであるACTS-GC試験は、胃癌取扱い規約第13版によって分類されたもので、第15版で改訂されたpStageに対し、現在推奨されている術後補助化学療法からどのレジメンを選択すべきか、現時点では不明である。

 横浜市で開催された第90回日本胃癌学会総会のワークショップ「新しい胃癌取扱い規約(15版)に基づいた補助化学療法の成績」(座長:神戸大学大学院外科学講座食道胃腸外科学分野・掛地吉弘氏、国立がん研究センター中央病院消化管内科・朴成和氏)では、 胃癌取扱い規約第15版(以下、第15版)のpStage分類に基づいて過去の治療成績を再検討した結果が報告された。さまざまな施設の検討から、第15版でpStage IIIB、IIICに該当する患者の治療成績は、S-1単剤療法では十分とは言えない可能性があることが示され、このような集団には今後より強力な術後補助化学療法を行う必要があることが示唆された。

 第15版では、国際対がん連合(UICC)のTNM分類第8版と連動し、病理進行度(pStage)分類に加え、臨床進行度分類が新たに設定された。第15版のpStageには、N3がN3aとN3bに細分化されて反映されている。これにより、T1(M、SM)N3bはIIBからIIIBに、T2(MP)N3bはIIIAからIIIBに、T3(SS)N3bはIIIBからIIICに、それぞれ上がることとなった。一方、T4a(SE)N2はIIIBからIIIAに、T4aN3aはIIICからIIIBに、T4b(SI)N0はIIIBからIIIAに、T4bN2はIIICからIIIBに、それぞれ下がることとなった。

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