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BMJ誌から
生後24カ月以下の小児の急性細気管支炎に最適な治療法とは

 2歳未満の乳幼児の急性細気管支炎に対する最適な治療法を明らかにするために行われた系統的レビューとメタ分析の結果が、BMJ誌2011年4月9日号に掲載された。カナダAlberta大学のLisa Hartling氏らによると、救急部門受診から1日目の入院を減らす効果では、アドレナリンエピネフリン)単剤投与が好ましく、7日目の入院を減らす効果ではアドレナリンとデキサメタゾンの併用が好ましいことを示唆する結果が得られた。

 1歳までの乳児で最も多い下気道疾患が細気管支炎だ。多くがRSウイルスの感染によるもので、乳児死亡の原因になることも少なくない。急性細気管支炎の患者に適用される治療は様々で、それらの安全性と有効性を厳格に比較した研究はこれまでなかった。そこで著者らは、気管支拡張薬とステロイドの単剤投与または併用の有効性と安全性を比較する系統的レビューとメタ分析を実施した。

 MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central、Scopus、PubMed、LILACS、IranMedExに09年までに登録された研究や、学会の抄録、臨床試験登録などから、以下の条件を満たす無作為化試験を選出した:喘鳴を伴う細気管支炎を初めて経験し、外来を受診または入院した、生後24カ月以下の小児を対象に、気管支拡張薬またはステロイドを単剤もしくは併用した場合の有効性と安全性を、偽薬または他の介入法(別の気管支拡張薬、別のステロイド、標準治療など)と比較していた試験。

 主要アウトカム評価指標は、外来患者を対象とする研究では救急部門での治療後の入院(1日目または7日目)、入院患者を対象とする研究では入院期間に設定。ランダム効果モデルを用いてメタ分析を実施し、さらにベイズのネットワークモデルを用いてさまざまな治療の比較を行った。

 48件の試験(4897人の患者を登録)が条件を満たした。ステロイドと偽薬を比較していた研究は17件(入院患者対象が8件、外来患者対象が9件)、アドレナリンと偽薬を比較していた研究は8件(3件と5件)、サルブタモールまたはテルブタリンと偽薬を比較していた研究は20件(9件と11件)、イプラトロピウムと偽薬を比較していたのは4件(3件と1件)、アドレナリンとデキサメタゾン併用を偽薬と比較していたのは2件(0件と2件)、イプラトロピウムとサルブタモールの併用と偽薬を比較していたのは1件(0件と1件)、ステロイドとアドレナリンを比較した研究は2件(0件と2件)、アドレナリンとサルブタモールを比較した研究は14件(6件と8件)、ステロイドとサルブタモールを比較した研究は1件(0件と1件)、サルブタモールとイプラトロピウムを比較した研究は4件(4件と0件)、ステロイドとサルブタモールの併用とその他の薬剤を比較した研究が2件(0件と2件)だった。同じ薬剤でも投与経路は異なる場合があった。

 バイアスが存在するリスクは、8件(17%)が「低」、15件(31%)は「高」、25件(52%)は「不明」だった。

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