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過労死弁護団が医師の待遇改善を国に申し入れ
医療機関への指導や宿日直の実態調査求める

「厚労省はまだこの問題に積極的に取り組んでいないように見える」と語る、松丸正氏。

 過労死弁護団全国連絡会議(代表幹事:松丸正弁護士)は11月14日、厚生労働省に対して、医師の勤務状況を改善するための要望書を提出した。過労死弁護団が医師の過労死に関して国に要望書を提出するのは、今回が初めて。

 要望書は舛添要一厚生労働大臣宛で、「医師の過労死をなくし、勤務条件を改善するための施策の強化についての申し入れ」と題するもの(要望書の全文はこちら)。松丸氏をはじめ、過労死弁護団幹事長の川人博氏、過労死した小児科医師の遺族である中原のり子氏らが、同省労働基準局監督課の担当者に面会し、2万2314人分の署名と併せて要望書を手渡した。

 要望書の中で過労死弁護団は、1)医師の労働時間の適正な把握、2)労基法第36条に基づく時間外および休日労働に関する協定(36協定)の適正な内容による届け出、3)賃金不払い残業(サービス残業)の是正、4)宿日直勤務の許可(労基法第41条)の適正な運用──の4点が重要とし、これらの4点に関する法令を遵守するよう医療機関に対して厳正に指導するよう求めた。

 弁護団は、厚労省の調査結果から病院勤務医の1週間当たりの勤務時間は平均63.3時間で、1カ月当たりの時間外労働は約100時間に相当すると指摘。これは労災の認定基準とされる「(脳血管・心疾患等の)発症前1カ月当たり100時間、あるいは発症前2カ月間~6カ月間の月平均で80時間の時間外労働」という条件に照らしても、明らかに過重だと指摘している。

 要望書の最後には、過労死弁護団が集約している医師の過労死・過労自殺(労災認定・労災補償事例)の22件を添付し、悲惨な現状を訴えた。

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