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JAMA誌から
妊娠初期の第2世代抗てんかん薬曝露は出生異常を増やさない

 第1世代の抗てんかん薬の胎内曝露は出生異常リスクを約3倍に高めることが明らかになっている。だが、第2世代抗てんかん薬の胎児に対する影響は明確になっていない。このほどデンマークStatens Serum InstitutのDitte Molgaard-Nielsen氏らが行った過去最大規模のコホート研究で、妊娠初期にそれらの薬剤を使用しても、胎児への悪影響を心配する必要はないことが示された。論文は、JAMA誌2011年5月18日号に掲載された。

 妊娠中のてんかん治療は慎重に行う必要がある。1990年代までてんかん治療に中心的に用いられていたフェノバルビタール、フェニトイン、バルプロ酸、カルバマゼピンなどの薬剤については、出生異常リスクを上昇させることが知られている。だが、それ以降に承認された第2世代の抗てんかん薬の曝露が胎児に及ぼす影響を調べた研究はわずかしかなかった。

 そこで著者らは、デンマーク国民を対象とする集団ベースのコホート研究を行い、妊娠初期に第2世代の抗てんかん薬の曝露を受けた胎児の主要な出生異常リスクを調べることにした。

 1996年1月1日から2008年9月30日までに同国内で生まれた生産児とその母親に関する情報を、出生登録、患者登録、調剤記録などの医療関連データベースから抽出した。

 出生異常は、入院または救急部門受診時に診断されたケースとし、欧州先天異常監視機構(EUROCAT)の分類に基づいて主要な出生異常の患者を選出した。染色体異常、遺伝性疾患、原因が明らかな先天異常は除外した。

 国民登録から、母親の年齢、出産経歴、出身国、妊娠時の住所、学歴、社会経済的地位、妊娠中の喫煙、先天異常児出産歴などの情報を得た。また、患者登録と調剤記録を調べて、妊娠初期の抗てんかん薬使用の有無を調べた。

 主要アウトカム評価指標は、妊娠初期の抗てんかん薬曝露による生後1年以内の主要な出生異常に設定した。

 計83万7795人の生産児を分析対象とした。うち1万9960人(2.4%)が生後1年間に主要な出生異常と診断されていた。

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