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Ann Intern Med誌から
メトホルミンとSU薬に追加すべき糖尿病治療薬は?
18件の研究を対象としたネットワークメタ分析の結果

 メトホルミンとスルホニルウレア(SU)薬の2剤を併用しても血糖管理が不十分な2型糖尿病患者に、第3の糖尿病治療薬を追加する場合、どの種類の薬剤が最適なのだろうか。この疑問に基づき、無作為化試験のメタ分析とネットワークメタ分析を行ったブラジルRio Grande do Sul連邦大学のJorge L. Gross氏らが、結果をAnn Intern Med誌2011年5月16日号に報告した。上記2剤以外の糖尿病治療薬(インスリンを含む)を追加した場合、いずれもHbA1c低下作用が認められたが、体重の変化には明らかな差があった。最適の薬剤は個々の患者の状態に合わせて選択すべきであることが明らかになった。

 メトホルミンSU薬の2剤に追加可能な治療薬には、インスリンのほか、αグルコシダーゼ阻害薬α-GI)、チアゾリジン系薬剤グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬などがある。

 著者らはこれらの種類の薬剤をそれぞれ追加した場合の有効性を比較するメタ分析を行った。1950年から2010年12月までに、MEDLINE、EMBASE、コクランライブラリ、LILACS、ClinicalTrials.govに登録された研究の中から、以下の条件を満たす無作為化試験を選出した:試験期間が24週以上、18歳以上の2型糖尿病患者でメトホルミン(1000mg/日以上、または最大耐用量を適用)とSU薬(承認用量の50%以上を適用)を3カ月以上使用していてもHbA1c値が7.0%超の人々を登録し、インスリンまたはそれ以外の糖尿病治療薬を追加したグループと、偽薬または別の糖尿病治療薬を追加したグループのHbA1c値の変化、体重の変化、重症低血糖イベントの頻度を比較した研究。

 メタ分析の主要エンドポイントは、HbA1c値の変化、体重の変化、重症低血糖イベントの頻度に設定した。

 18件の研究が条件を満たした。それらは19件の比較を行っており、9件は偽薬と上記5剤のいずれか、10件はインスリンとそれ以外の糖尿病治療薬(チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害薬、α-GIのアカルボース)を比較していた。登録患者数の合計は4535人で、追跡期間の平均は31.3週だった。ベースラインのHbA1c値は8.8%(7.5~10.6%)、BMIは28.8(24.0~34.2)、糖尿病歴は8.9年(8.1~13.6年)だった。

 偽薬と比較すると、どの種類の薬剤も有意にHbA1c値を低下させていた。9件の試験結果をプール解析すると、低下幅の平均は-0.96%(95%信頼区間-1.11から-0.81%)で、アカルボースの-0.60%(-1.16から-0.04%)からチアゾリジン系薬剤の-1.15%(-1.35から-0.95%)の間だった。メタ回帰分析により、ベースラインのHbA1c値、糖尿病歴、BMIはHbA1c値の変化に関係しないことが明らかになった(P=0.19)。

 インスリンとそれ以外の糖尿病治療薬を比較していた研究のプール解析では、インスリンに比べその他の薬剤を追加した患者群のHbA1c値は0.29%(0.06-0.51%)高いことが示された。メタ回帰分析の結果は、やはりベースラインのHbA1c値、糖尿病歴、BMIはHbA1c値の変化に関係しないことを示した(P=0.08)。

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