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NEJM誌から
食道アカラシアのバルーン拡張術と腹腔鏡手術の有効性に差なし
術後2年間追跡した無作為化試験の結果

食道アカラシアに対する治療法として、腹腔鏡下Heller筋層切開術(LHM)は内視鏡的バルーン拡張術よりも優れていると考えられている。だが、オランダAmsterdam大学医療センターのGuy E. Boeckxstaens氏らが両者の有効性と安全性を比較する無作為化試験を行ったところ、LHMの優越性は示されず、いずれも同様に有効な治療であることが明らかになった。論文は、NEJM誌2011年5月12日号に掲載された。

 食道アカラシアに対するLHMの適用は増えているものの、これまで、その優越性を明確に示した質の高い研究はなかった。

 著者らは、03年2月から08年2月まで、欧州5カ国の14病院で、18~75歳の新規診断アカラシア患者を登録、バルーン拡張術(割り付け後、全員に2回実施、Eckerdtスコアを目安に一部の患者には3回実施。追跡期間中に再発があった患者には追加実施を許可)またはLHM+Dor噴門形成術に割り付けた。

 組み入れ条件はEckardtスコアが4以上とした。Eckardtスコアは、嚥下障害、逆流、胸痛の症状の発生頻度と体重減少レベルに基づいて計算する。スコアの合計範囲は0~12ポイントで、ハイスコアほど症状が深刻であることを示す。

 主要アウトカム評価指標は、年1回の評価における治療成功(Eckerdtスコアが3以下)患者の割合とした。2次評価指標は、再治療の必要性、下部食道括約筋圧、バリウムを用いた食道造影によって評価される排出能、QOL(SF-36と食道癌患者のQOL指標であるQLQ-QES24を用いて評価)、合併症発生率などに設定。

 201人を登録し、バルーン拡張術(95人)またはLHM(106人)に割り付けた。平均追跡期間は43カ月(95%信頼区間40-47カ月)だった。

 Modified intention-to-treat分析では、主要エンドポイントに設定された治療成功患者の割合に有意差はなかった。1年後の時点でバルーン群90%、LHM群93%、2年後はそれぞれ86%と90%(ログランク検定のP=0.46)。

 Per-protocol分析の結果も同様で、1年後の治療成功患者がバルーン群93%とLHM群93%、2年後は93%と90%だった(P=0.33)。

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