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長時間持続型ESAであるC.E.R.A.には安定した腎性貧血改善効果が期待される

2011/06/18

春日井市民病院の渡邊有三氏

 C.E.R.A.(Continuous Erythropoietin Receptor Activator)は、エポエチンβに1分子の直鎖型メトキシポリエチレングリコール分子を化学的に結合させた長時間持続型赤血球造血刺激因子製剤ESA)である。エリスロポエチン受容体への結合親和性が低く、血中に長時間留まることから、血中消失半減期は静脈内投与時、皮下投与時ともに約130時間と、他のESAに比べて大幅に延長した。春日井市民病院渡邊有三氏(写真)らは、6月17日から横浜で開催されている日本透析医学会(JSDT2011)において、本剤の治験に参加した同施設の患者データを紹介し、保存期および血液透析患者にC.E.R.A.を静脈内投与したときの貧血改善効果、改善維持効果を報告した。

 保存期患者を対象とした後期第II相試験には、試験期間中に透析導入の必要がないと考えられ、血清クレアチニン値が2.0mg/dL以上、Hb値が10.0g/dL未満、4週間以内に遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(rHuEPO)製剤の投与を受けていない慢性腎不全患者が登録された。渡邊氏らの施設からは3例が登録され、本剤投与開始時の平均Hb値は8.6g/dL、血清クレアチニン値は4.4mg/dLであった。

 本剤は25、50、75μgのいずれかを2週に1回投与し、目標Hb値である12.0g/dLに到達した後は、目標Hb値を11.0~13.0g/mLとして本剤25~300μgを4週に1回投与した。

 投与後にHb値は緩やかに上昇して20週までに目標値である12g/dLに到達し、過度のHb値の上昇はなく、その後48週後まで12g/dL前後で安定していた。保存期の3例のうち1例では腎機能悪化により血清クレアチニン値が12.0mg /dLを超えたが、透析導入のため本剤の投与を中止するまでHb値を11g/dL以上に維持することができた。

 一方、血液透析患者を対象とした第III相試験には、週1回以上の血液透析を受けており、透析導入後rHuEPO製剤の投与を受けたことがなく、登録直近の透析前Hb値が10.0g/dL未満の慢性腎不全患者が登録された。渡邊氏らの施設からは6例が登録され、本剤投与開始時の平均Hb値は7.9g/dL、血清クレアチニン値は11.5mg/dLであった。

 第III相試験では、本剤は50μgを2週に1回投与し、目標Hb値である11.0g/dLに到達した後は、目標Hb値を10.0~12.0g/dLとして本剤25~300μgを4週に1回投与した。

 投与後に平均Hb値は緩やかに上昇して16週後には目標値である11g/dLに到達し、その後も24週後まで安定して推移した。初期投与時のHb値の週当たりの上昇速度は0.213±0.088g /dLであった。また、本剤投与中に収縮期血圧、拡張期血圧に有意な変動は認められなかった。

 最後に渡邊氏は、C.E.R.A.は安定した腎性貧血治療が可能な長時間持続型ESAとして期待されると述べ、講演を終えた。

(日経メディカル別冊編集)

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