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【適応追加】PEG-IFNα-2a+リバビリン併用療法
C型代償性肝硬変にペガシス+コペガスが使用可能に

2011/08/05
北村 正樹=慈恵医大病院薬剤部

 2011年7月1日、ペグインターフェロン アルファ-2aPEG-IFNα-2a;商品名ペガシス皮下注90μg)とリバビリン(商品名コペガス錠200mg)の併用療法に「C型代償性肝硬変によるウイルス血症の改善」の適応が追加された。従来から、C型慢性肝炎の治療に対しては、PEG-IFNα-2a製剤単独、およびPEG-IFNα-2a製剤とリバビリンの併用療法が認められていたが、これまでC型代償性肝硬変の治療にはPEG-IFNα-2a製剤が使用できなかった。

 今回、適応追加となった「C型代償性肝硬変」とは、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染による肝炎が長時間続くことで生じる肝硬変のことである。従来、このC型代償性肝硬変によるウイルス血症の治療法としては、週3回投与のインターフェロン(IFN)療法、具体的には、IFN-β(商品名フエロン)や天然型IFN-α(スミフェロン)の単独療法のみであった。また、難治例とされるジェノタイプ1bかつ高ウイルス量(500KIU以上)においては、適応を持つIFN製剤がなかった。

 今回の適応追加により、HCVのジェノタイプやウイルス量に関係なく、C型代償性肝硬変の治療に週1回投与のPEG-IFNα-2a製剤のペガシスが使用できることになる。この適応追加は、C型代償性肝硬変の患者を対象とした国内第2/3相臨床試験において、高いウイルス学的治療効果(SVR)が認められたことに基づいている。さらに、この試験結果に基づき、厚生労働省の優先審査品目に指定され、今回の承認となった。

 効果の高いペガシス+リバビリン併用療法が、C型代償性肝硬変に対して、ジェノタイプやウイルス量に関係なく使用できるようになったことは、治療の選択肢が増えるという観点からも朗報と言えよう。また、ペガシスの使用により、インターフェロン注射が週1回で済むことで、患者の肉体的・精神的負担の軽減が期待できる。

 ただし今回、C型代償性肝硬変への適応追加が認められたのは、ペガシスの90μg製剤のみであり180μg製剤には適応がない。また、認められたのはペガシスの週1回90μg投与であり、従来のC型慢性肝炎の用法・用量(週1回180μg)とは異なることに注意する必要がある。

 副作用等の安全性に関しては、適応追加のための治験では、新たな副作用は認められていないものの、従来の治療時と同様、ほぼすべての症例に何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用は、倦怠感、発熱、そう痒症などであり、臨床検査値異常としては好中球減少、白血球減少、赤血球減少、血小板減少などが報告されている。

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