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エパルレスタットによる尿着色で不安を感じた患者

2011/08/09

<処方せんの具体的内容は>

70歳後半の女性
<処方1>Aクリニックの内科
キネダック錠50mg
3錠
1日3回
毎食前
28日分
パナルジン錠100mg
2錠
1日2回
朝夕食後
28日分
他 7 種類
一包化

<何が起こりましたか?>

キネダック錠<エパルレスタット>による黄色の尿着色を知らなかった。

<どのような過程で起こりましたか?>

・前回処方時に、両下肢の痺れからキネダックを追加処方した<処方1>。
・今回診察時に、患者から「体調はどこも悪くないが、尿が黄色くなった」と訴えがあった。そのため、血液検査を行ったが、異常値は確認されなかった。患者に詳細を尋ねると、患者は前回処方時に薬剤負担額が高くなったため後発医薬品を希望し、キネダックに加えて、パナルジン<チクロピジン>なども後発品に変更したとのことだった。患者は、尿着色の原因が薬を後発品に変更したせいではないかと疑っていた。
・後発品について詳細が分からなかったので、患者に尿着色について薬剤師に相談するよう指示した。

<どのような状態になりましたか>

・患者のかかりつけ薬局から連絡があり、エパルレスタットを服用すると尿が黄褐色又は赤色に着色することがあり、これは先発医薬品、後発品に関係なく起こる可能性があるとのことだった(エパルレスタットおよび代謝物の影響による)。

<なぜ起こったのでしょうか?>

・エパレルスタットを服用すると、尿が黄褐色に着色することを知らなかった。
・薬剤師が、エパルレスタット初回交付時に尿の着色を患者に伝えていたが、説明不足のためか、患者は説明を受けたことを忘れていたとのことだった。

<二度と起こさないために今後どうするか?>

・先発医薬品のキネダック錠だけでなく、他の後発品によっても同様のトラブルが起こる可能性があることを認識しておく。
・新たに医薬品を処方する際には、副作用の初期症状だけでなく、患者が自覚できるような変化についてはあらかじめ説明しておく。

連載の紹介

医師のための薬の時間
薬物治療に関するヒヤリ・ハット事例や薬物相互作用に関する情報を毎週提供しているNPO法人医薬品ライフタイムマネジメントセンター「医師のための薬の時間」(東京大学大学院薬学系研究科の教員が運営)。その内容の一部をご紹介します。
*印は医薬品ライフタイムマネジメントセンターのWebサイトにあり、記事にリンクしています。

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