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インスリン導入を阻む4つの誤解

2011/09/30
岩岡秀明

 本連載の第1回に記載したとおり、「インスリンの相対的適応」(著明な高血糖)は、(1)空腹時血糖値250mg/dL以上、(2)随時血糖値350mg/dL以上、(3)尿ケトン体陽性(+)以上―のいずれかを満たし、かつ1~2kg/月以上の体重減少がある場合である。

 このほか、経口血糖降下薬では良好な血糖コントロールが得られない場合、ステロイド使用中の高血糖、やせ型で栄養状態が低下している場合も相対的な適応である。

 このような相対的適応におけるインスリン導入で押さえておくべきポイントは、「インスリンを早期に導入し、ブドウ糖毒性を早期に解除すれば、インスリンからの離脱が可能な場合が多い」こと。つまり、早期導入の重要性である。

 そのため、糖尿病を専門とはされない医師でも、2型糖尿病患者へのインスリン導入については常に念頭に置く必要がある。インスリン導入が不慣れな場合でも、上記の相対的適応が認められたら、糖尿病専門医への速やかな紹介を心がけてほしい。

 今回から数回にわたり、糖尿病を専門とされない医師を想定し、外来でインスリン療法を導入する際のポイントについて解説する。

よくある誤解さえ解ければ、導入はぐっとスムーズに
 早期導入の障壁となるのは、ほとんどの患者さんが持っているインスリンに対する誤解である。私はこれを「4つの誤解」(下記参照)と呼び、いつも研修医や看護師に説明している。これらの誤解を解くことさえできれば、インスリン導入に成功したも同然と言える。

著者プロフィール

岩岡 秀明(船橋市立医療センター代謝内科部長)●いわおか ひであき氏。1981年千葉大卒後、同大第二内科入局。2002年4月より船橋市立医療センター。日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本糖尿病学会専門医・指導医。

連載の紹介

【臨床講座】糖尿病診療「こんな時どうする?」
インクレチン関連薬の登場、インスリン療法のデバイスの進歩などに伴い、糖尿病治療における薬剤の使い分けや選択は難しさを増しています。日常診療に役立つ実践的な診療ノウハウを、最新の知見を交えながら解説します。

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