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Arch Intern Med誌から
糖尿病患者の理想的な受診間隔は2週間に1回
受診間隔が短いほどコントロール不良を脱するまでの期間が短い

 糖尿病患者の受診間隔は、どの程度が理想的なのだろうか。この疑問を検証するため、米Brigham and Women’s HospitalのFritha Morrison氏らは、ひとたび正常域から逸脱したHbA1c値、血圧値、LDL-c値が正常域に戻るまでの期間を指標に、理想的な受診間隔を調べる大規模な後ろ向きコホート研究を行った。この結果、より短い間隔で受診していた患者の方が短期間でコントロール不良を脱することができることが分かった。著者らは、2週間に1回程度の受診が好ましいとの考えを示している。論文は、Arch Intern Med誌2011年9月26日号に掲載された。

 これまでにも、より頻繁に受診した方が糖尿病患者の転帰は良好であることを示した研究が複数あった。だが、治療ガイドラインには好ましい受診間隔は示されていない。そこで著者らは、受診間隔が短い方が、HbA1c、血圧、LDL-cのコントロールは向上すると予想されることから、いったん上昇したそれらの値が正常域に戻るまでの期間を指標に、理想的な受診間隔を明らかにしようと考えた。

 ボストンの2カ所の教育病院のプライマリケア部門を定期的に受診している糖尿病患者のデータを医療記録から抽出し、後ろ向き研究を行った。2000年1月1日から09年1月1日までの間に、どちらかの施設を2年以上定期的に受診していた18歳以上の糖尿病患者(糖尿病と診断されている、またはHbA1cが7.0%以上の人々)のうち、HbA1c、血圧、またはLDL-c値が治療の目標域(それぞれ7.0%未満、130/85mmHg未満、100mg/dL未満)を1回以上逸脱したことがある患者を選出。そのうち、必要とする情報がそろっていた2万6496人を分析対象とした。

 目標域からの逸脱があった時点から正常域に戻るまでの期間を「コントロール不良期間」とした。追跡期間中にコントロール不良期間が複数回あった患者については、それらのすべてを分析対象にした。なお、特異的な治療薬の投与なしに正常域に戻った場合は、一過性の上昇として分析に含めなかった。

 コントロール不良期間を、その間に受診した回数(来院以外に電話などを使った遠隔相談もカウントした)で割った値を受診間隔の平均とした。

 条件を満たした高血糖は1万4293例(追跡期間中のコントロール不良期間は計2万1696回で、不良となった患者1人当たり1.5回発生)、高血圧が2万6128例(計8万9419回、1人当たり3.4回発生)、高脂血症は1万5739例(計2万2092回、1人当たり1.4回発生)だった。

 これらの患者のコントロール不良期間内の受診間隔を以下のように分類した。1週間以下、1週超~2週以下、2週超~3週以下、3週超~1カ月以下、1カ月超~2カ月以下、2カ月超~3カ月以下、3カ月超~6カ月以下、6カ月超。

 コントロール不良期間の受診間隔が長くなるにつれて、測定値が目標域に戻るまでの期間も長くなり、用量反応関係が認められた。受診間隔が1週超~2週以下だった患者群と3カ月超~6カ月以下だった患者群について、HbA1cが7.0%未満になるまでの時間の中央値を比較したところ、インスリン非使用者では、それぞれ4.4カ月と24.9カ月、インスリン使用者では10.1カ月と52.8カ月だった。血圧が130/85mmHg未満に下がるまでに要した時間の中央値は、1.3カ月と13.9カ月、LDL-c値が100mg/dL未満になるまでに要した時間の中央値は、5.1カ月と32.8カ月だった(すべてP<0.001)。

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