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「武見落選、自見当選」で日医に衝撃
唐澤執行部に初の試練、再選にも影響か

 7月29日に投開票が行われた第21回参議院議員選挙の結果に、日本医師会の執行部は、大敗した自由民主党の幹部と同じくらいの衝撃を受けているだろう。日医の組織力が問われる比例区で、日本医師連盟が推薦した武見敬三氏(自民)が落選した一方で、一部都道府県医師会が推した自見庄三郎氏(国民新党)が当選したからだ。

 武見氏と自見氏には、日医執行部をめぐり浅からぬ因縁がある。武見氏は、「反小泉政権」と見られていた植松治雄・前日医会長に対抗し、政権との協調路線を掲げる唐澤祥人・現会長を担ぎ出し、その当選に大きな役割を果たした人物。当然、植松氏がかつて会長を務めた大阪府医師会など、親植松派からは目の敵にされている。

 そもそも植松氏は、小泉政権に「是々非々」の姿勢で臨んでいた。それが、「反小泉」と決定的にみなされるきっかけになったのが、一昨年の衆議院選挙で、郵政民営化に反対して自民党の公認を得られなかった自見庄三郎氏を推薦したこと。自見氏は落選したが、結果的に昨年4月実施の診療報酬改定は過去最大の引き下げ幅となり、これが植松前執行部の再選を妨げた最大の要因となった。

 今回の参院選をめぐっても、武見・自見の両氏は、日本医師連盟の推薦を受けるために争った。唐澤執行部が武見氏を推薦したのは過去の経緯から当然だが、結果は前回の参院選で西島英利参議院議員が獲得した25万票を大きく下回る18万6616票しか取れずに落選。逆に推薦しなかった自見氏が当選するという皮肉な結果となった。

 唐澤執行部の誕生から1年4カ月余り。その間、堅実に日医を運営してきた印象が強いが、ここへきて大きくつまずいた格好になった。これは、唐澤執行部の今後、とりわけ来年3月末の任期切れを控え、その再選の行方に大きな影響を与えるだろう。まずは、9月末に予定される臨時代議員会での議論が注目される。

 そのほか、比例区の医系候補では、渡辺孝男氏(公明)が当選し、谷川智行氏(共産)が落選した。

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