前回の記事から、すいぶんとご無沙汰してしまいました。実は、自ら「ラマダン・ダイエット」と名付けた、かつての日本の同僚栄養士の諸兄諸姉が聞いたら嘆くであろう自己流ダイエットが奏効して7kgの減量に成功。しかし、急激な減量で「脂肪の腹巻」を失ったためか不覚にもヘルニアが勃発し、全麻手術で2泊の入院。普段の不精も加わって、ますます原稿が遅れましたことをお詫び致します。
専門医制度を担うのは医師の自治組織
さて、ドイツにはアルツテカマー(Ärztekammer)という医師の自治組織があります。日本では「医師会」と訳されていますが、医療行政の実務を行政から受託するなど、日本の医師会とはかなり異なった側面も持っています。さらに、診療報酬とも直結する専門医制度を統括管理してもいるのです。
アルツテカマーはドイツの医師全員(行政からの独立性を確保するため、行政に関与する官庁勤務の医師は除く)が加盟する大組織で、全国17の各州に存在しています(デュッセルドルフを擁するノルトライン=ヴェストファーレン州のみ2つの地域に分割)。医師国家試験はドイツ連邦法、つまり国の管轄ですが、医師免許を取得した後の研修、専門医の認定試験、その後の生涯教育は各アルツテカマーの仕事です。将来どの疾患領域の専門医を増やす(または抑える)必要があるのか、患者の年齢構成や社会的ニーズの分析も行い、医療行政に役立てています。
元来ドイツの保険医療行政は各州政府の所管で、アルツテカマーによる医師の監督権は、あくまで州政府から委託されたものです。そのため、各州の医療職法には医師の監督に関するアルツテカマーの任務が細かく規定され、医師自ら自分たちを厳しく管理する形を取っています。
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著者プロフィール
馬場 恒春
ノイゲバウア‐馬場内科クリニック(デュッセルドルフ)
1971年、カリフォルニア州へAFS交換留学。1978年、弘前大学卒業。弘前大学、ドイツのハインリヒハイネ大学(フンボルト基金研究員)、国立国際医療センター臨床研究部(流動研究員)、リューベック大学(フンボルト基金研究員)、東京大学、北里大学、福島県立医科大学の各研究室でお世話になった後、2003年に渡独。現在はデュッセルドルフ市内のノイゲバウア馬場内科クリニックに勤務。専門は内科一般。趣味はサッカー応援、大相撲観戦。
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