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第5回
CHADS2スコア1点以下で抗凝固療法を行うのはどんなとき?

2012/08/01

指導医 さっきからパソコンで何を調べているんですか? お、このサイト、UpToDate(注)だね。

研修医 はい。前回のカンファランスでCHADS2スコア1点以下の人に抗凝固薬を使うべきかが問題となったので、実際はどうなのかと思いまして。

指導医 なるほど。で、なんて書いてあった?

研修医 “Antithrombotic therapy to prevent embolization in nonvalvular atrial fibrillation”の章の“Prevention approach by CHADS2 score”に、「スコア0点では、抗凝固療法は推奨しない。ある専門家の人達はCHA2DS2-VAScスコア1点で抗凝固療法を考慮することを合理的と考えている」「スコア1点は中等度リスクであり、抗凝固薬またはアスピリンで治療すべきである。抗凝固薬がより好ましい」と記載されています。

指導医 それはまさに現時点での教科書的な答えとも言える内容だね。この内容を吟味する前に、CHADS2スコア低リスク例に対する抗凝固療法、すなわち「CHADS2スコア0点1点問題」が出てきた背景を考えてみましょう。

著者プロフィール

小田倉弘典(土橋内科医院〔仙台市〕院長)●おだくら ひろのり氏。1987年東北大医学部卒。仙台市立病院循環器科、国立循環器病センター、仙台市立病院循環器科医長を経て2004年より現職。ブログ「心房細動な日々」

連載の紹介

プライマリケア医のための心房細動入門
患者数が増え続け、治療方針も大きく変化している心房細動。循環器疾患を専門としないプライマリケア医向けに、実際の症例や最新のエビデンスを交えながら、心房細動の診断、治療を“分かりやすさ最優先”で解説します。
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 本連載のバックナンバーを大幅に加筆・修正し、書き下ろしも加えて全体を再構成。2014年1月に発表された「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」の内容も踏まえ、「リスクマネジメント」の視点から心房細動診療の進め方を分かりやすく解説しました。(小田倉弘典著、日経BP社、3500円税別)

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