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どんなにイケメンの患者さまであろうとも

2012/07/05

私の趣味の1つに「編み物」があります。小学校の「編み物クラブ」以来の趣味です。最近は時間がなくて小さな物しか編めないのですが、頭を空っぽにしたいときにはとてもいいものです。

3年ほど前のある日、レース編みをしていた時のこと。レース糸はしっかりした綿糸で、針と共に生地に刺し通すには結構力が要ります。そのときもなかなか針が通らず、つい歯で針をくわえて引っ張りました。すると前歯に違和感が…。鏡を見てみると、左の前歯が1ミリほど欠けてしまったではありませんか!

職場のスタッフや友達に「ほらほら、前歯欠けてるでしょう!?」と見せたのですが、みんなの反応は「えぇ?どこ?」という薄いものでした。しかし本人は、鏡を見るたびに前歯が気になって仕方ありません。周囲の評判やネットの情報を参考に、昼休みに通えそうな歯科医院を探し、良さそうなクリニックをみつけました。職場至近、院長もホームページの顔写真を見る限り、なかなか好青年そうです。

早速電話で予約して行ってみたところ、受付や歯科衛生士さんの対応もとても感じがよく、私よりずっと年下の院長もなかなかのイケメン。説明も治療もとても丁寧ですっかり気に入りました。以来、時々とれてしまう差し歯の治療や、年に数回の検診、歯のホワイトニングにも通うようになりました。

突然の予約でも嫌な顔ひとつせず、優しく対応してくださるイケメン院長。「素敵な方だなぁ…」「その診療態度を見習わないとな~」と思います。しかし、それ以上の気持ちはありません。「結婚されているのかしら?」などという興味もありませんし、ましてや個人的に院長に連絡しようなどとも思いません。私の年でそんなことをしたら、完全に「イタい患者」になってしまいますし(笑)。

著者プロフィール

さかい あい(ペンネーム)●アラフォー、独身の女性フリー眼科医。関西在住。十数年の病院勤務後、一身上の都合でフリーに転身、町の眼科クリニックに勤務。仕事は結構忙しいが、オン/オフはっきりした生活をエンジョイ中。

連載の紹介

さかいあいの「今日はどないしはったん?」
関西在住の女性フリー眼科医、さかいあい氏によるエッセイ。日々の診療や患者さんのこと、趣味や楽しみ、気になる事件など、話題てんこ盛りです。ブログタイトルは、さかい氏が診察を始めるときの決まり文句。

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