「ではまず、レントゲンを撮ってみましょう」と言って、急な腰痛で来院した患者に画像検査を行うことはよくある。しかし、米国家庭医療学会(AAFP)と米国内科学会(ACP)の勧告は「画像検査は6週間たってから」と、これに待ったを掛ける。
学会はその理由をこう記す。「患者の病歴や身体所見で特定の疾患や脊椎の異常が見られない腰痛では、単純X線やCT、MRIは臨床アウトカム(機能的予後、疼痛など)を改善しない」「コストが掛かるほか、患者を不安がらせるリスクが生じる」。
日本のGLでも同様の記載に
福島県立医大整形外科教授の矢吹省司氏は、「世界各国の腰痛診療ガイドラインで、初診時のルーチンの画像検査は推奨されていない。日本でも、この勧告に従って診療する必要がありそうだ。実は、現在作成中のわが国の腰痛診療ガイドラインにも、同様の記述を盛り込む方向で検討が進んでいる」と語る。
日本の腰痛診療ガイドラインでは、急性腰痛の診断手順は図1のようになる見込み。要約すれば「危険信号(redflags)や神経症状がない場合には、4~6週間は画像検査を行わずに保存的治療を行う」というもので、米国の2学会の勧告とほぼ同様だ。
日経メディカル2012年9月号「特集 その検査、ホントに必要?」
日経メディカル2012年9月号「特集 その検査、ホントに必要?」転載 Vol.3危険信号がない急性腰痛はすぐに画像検査を行わない【整形外科疾患(その1)】
2012/09/11
野村和博=日経メディカル新規に会員登録する
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