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日経メディカル2012年9月号「特集 その検査、ホントに必要?」転載 Vol.4
低リスクの65歳未満女性にDXAによる骨粗鬆症検診を行うべからず
【整形外科疾患(その2)】

 整形外科領域のもう一つの重要な勧告は、二重エネルギーX線吸収測定法DXA)による骨粗鬆症のスクリーニングについてだ。DXAは日本でも広く行われているが、AAFPは「高齢者に対する費用対効果は高いが、低リスクの若年者に対しては否定的である」との判断を示す。

日本骨粗鬆学会の「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版」の作成に携わった川崎医大放射線医学教授の曽根照喜氏は、「勧告のソースを見た限りでは、65歳未満の女性に『DXAによるスクリーニングが害を及ぼす』というエビデンスがあるわけではない。有効性を証明するエビデンスがないから、医療費や患者負担といった観点が重視され、『勧められない』との結論を導いたと考えられる」と解説する。

 日本の上記ガイドラインでは、DXAスクリーニングが65歳以上の女性やリスク因子を持つ女性に対して「有効である」としか記載されておらず、65歳未満の女性への有効性に関する記載はない。

 では、わが国ではDXAの対象年齢をどのように考えるべきなのか。曽根氏は、「日本では、より低い年齢でDXAスクリーニングを行うことが許容されるのではないか」と語る。

 理由は幾つかある。米国では骨粗鬆症の合併症として大腿骨近位部骨折が多いが、日本では脊椎圧迫骨折が多い。脊椎圧迫骨折は大腿骨骨折より早期に起きやすく、早めの検査が重要と考えられる。骨粗鬆症の有病率は、60歳代から急激に増加することが分かっている(図2)。

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