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2012/09/11

動画で学ぶステレオガイド下マンモトーム生検

(監修・撮影協力:静岡県立静岡がんセンター)

 乳がんかもしれないことが疑われた場合、画像診断や生検(細胞や組織の一部を採取して細胞の種類を評価すること)を行います。

 初めてこうした検査を受けるときは、さまざまな疑問や不安を覚えることがあるかも知れません。ここでは、動画を用いて、ステレオガイド下マンモトーム生検とは実際にどのように行うか解説します。

ステレオガイド下マンモトーム生検


 本連載では、乳がんが疑われたときに行われる、マンモグラフィー検査、コアニードル生検、ステレオガイド下マンモトーム生検、穿刺吸引細胞診、超音波ガイド下マンモトーム生検、乳腺超音波検査について動画で解説していきます。こうした検査を行うときの疑問について、監修・撮影協力をいただいた静岡県立静岡がんセンター生理検査科医長の植松孝悦氏に回答いただきました。


 乳腺腫瘍に対する生検の方法として、穿刺吸引細胞診、コアニードル生検(針生検)、マンモトーム生検などがありますが、それぞれの方法についてどういった場合にどれを選択するのか、といった基準はあるのでしょうか?

回答 このタイプの腫瘍に対してはこの方法で生検を行なう、といった基準はガイドラインでは示されていません。

 穿刺吸引細胞診は、最も低侵襲といわれる検査法ですが、細胞しか採ることができません。一方、針生検を用いると組織の単位で採取することができるのです。そして、針生検よりもマンモトーム生検の方がさらに多くの組織を採取することができます。

 穿刺吸引細胞診では、良性か悪性かといった簡単なことしか分かりませんし、場合によっては本当に悪性なのかどうか判断が難しいケースもあります。コアニードル生検やマンモトーム生検では、組織を採取しているため、乳がんの組織型を判定することが可能です。近年の乳がん治療は、患者さんの乳がんの組織型を明らかにし、それぞれの組織型に最適の治療法を選択し、患者さんに提案するという考え方が進んでいます。組織型に基づくことで、我々も自信を持って乳がんの術式や抗がん剤治療を患者さんに提案し、施行することができるのです。

 穿刺吸引細胞診は痛みが強いものです。それは麻酔を行わないケースが多いからです。麻酔を行なってもよいのですが、麻酔薬を注射する際に針を刺すわけで、その際に痛みが生じます。いずれにせよ痛みを生じるならば、穿刺吸引細胞診の際には一回の痛みで済むように麻酔薬を注射せずに行うケースも多いでしょう。穿刺吸引細胞診は最も低侵襲な検査法とは言われていますが、痛みに関しては最も強いのです。

 当院はがんセンターであり、また私は、穿刺吸引細胞診だけでなく、コアニードル生検も専門としているため、できるだけ丁寧に、時間をかけて施行するようにしています。しかし、コアニードル生検の検査時間は30分、場合によっては1時間程度かかることがあります。一般的な病院では、外科医が診療の合間に生検を行なっているケースも多く、多忙な日常診療ではコアニードル生検を行うことが難しいのです。一方、穿刺吸引細胞診であれば簡便に施行できるので、日本では圧倒的に穿刺吸引細胞診を行うケースが多いのが実情です。

 また、乳腺を専門に行なっている医師がまだまだ少ないのも現状で、全体的にマンパワーが不足しているのです。

 コアニードル生検を行うということは、マンモグラフィーによる検査と違い、がんの疑いが強いので行うと聞きました。正直、検査結果が出るまでのおよそ1週間程度の時間をどのような気持ちで過ごせば良いのでしょうか? 検査結果を待っている間、不安で不安で仕方ありません。

回答 不安をお感じになるのも当然だと思います。我々医師の間でもその不安については重要と考えていて、大切な研究分野の1つです。まず何より、針を刺す検査を受けること自体が不安でしょう。そして、結果がでるまで不安をお感じになると思います。

 医師から「コアニードル生検(針生検)という検査をしましょう」と言われた段階で、患者の皆さんは「え?がんなのかしら?」と感じられることが多いようです。そこからは不安がずっと続いてしまうようです。当院はがんセンターなので、病院の性格上、来院された段階で既に不安を持たれていることが多いようです。

 我々医師は、画像診断などで明らかに良性であると考えられれば、基本的にはコアニードル生検は行いません。コアニードル生検を行うということは、悪性の可能性があるためです。ただし、近年、乳癌治療は非常に進歩しています。患者さんごとに乳がんの組織型を明らかにし、その組織型に最適の治療法を選択するようになっています。がんだからと最初からあきらめる必要はありません。

 なお、当院では、線維腺腫など良性腫瘍だろうと判断されるような場合でも、念のために病理診断を行い、紹介元の病院に対して、「結果は良性でした。今後のフォローアップをよろしくお願いします」とお伝えするために生検を行うケースもあります。

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