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JAMA誌から
ピオグリタゾンは糖尿病患者の冠動脈プラーク進展を抑制
PERISCOPE試験の結果より

糖尿病冠疾患がある患者に対する血糖降下治療が、冠動脈アテローム硬化を抑制することを示すPERISCOPE試験の結果が、米国心臓学会での口頭発表に続いてJAMA誌2008年4月2日号に掲載された。米国Cleveland ClinicのSteven E. Nissen氏らは、冠動脈血管内超音波検査IVUS)を用いて、スルホニルウレア系薬剤のグリメピリドに比べ、チアゾリジン系薬剤のピオグリタゾンを投与した患者群で、冠動脈プラーク進展が抑制されることを明らかにした。

 糖尿病患者に対する血糖値降下治療が大血管合併症に及ぼす効果を明確に示すことは難しく、実際に冠動脈のアテローム硬化の進行を遅らせる作用が証明された糖尿病治療レジメンはこれまでなかった。

 著者らは、糖尿病治療薬の中で作用機序が異なる2種類の薬剤(インスリン分泌を促進するグリメピリド、インスリン抵抗性改善薬のピオグリタゾン)に着目した。いずれも炎症マーカーの値を下げるが、グリメピリドに比べピオグリタゾンは、HDL-c値を高めてトリグリセリド値を下げる作用が強いからだ。

 PERISCOPE試験は、2型糖尿病で冠疾患の患者を対象とする二重盲検の無作為化比較試験だ。北米と南米の大学病院および地域の病院を合わせて97施設で、2003年8月から2006年3月に患者を登録した。

 対象は、35~85歳で、HbA1c値が、血糖降下薬使用中の患者では6.0~9.0%、使用していない患者の場合は6.5~10%で、臨床症状に基づいて行われた冠動脈血管造影で20%以上の狭窄が1カ所以上見付かった患者543人。

 ベースラインでIVUSを実施。狭窄が50%未満の区間が40mm以上ある部分を標的血管とした。そして無作為にグリメピリド1~4mg(273人)またはピオグリタゾン15~45mg(274人)に割り付けた。実際に投与を受けたのは、それぞれ273人と270人だった。忍容性が見られれば16カ月間のうちに最大用量まで漸増し、計18カ月間投与を継続した。実際に投与された1日用量はグリメピリドが2.9mg、ピオグリタゾンが37.4mgだった。試験期間中は、標的HbA1c値7.0%未満を達成するために、この2剤以外のすべての糖尿病治療薬(インスリンを含む)を用いることを認めた。

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