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就学前に農村で暮らした子どもは学齢期のアレルギー性鼻炎が7割減
逆に新生児期の抗菌薬使用はリスク増やす

スウェーデンのUniversity of Gothenburg小児科のBernt Alm氏

 就学前に農村暮らしをしていた子どもは、学齢期のアレルギー鼻炎罹患率が約3分の1と大幅に低い。こんな研究結果がスウェーデンから報告された。清潔すぎない生活環境で暮らした子どもはアレルギー疾患にかかりにくいという「衛生仮説」を裏付ける成果の1つとして注目される。スウェーデンのUniversity of Gothenburg小児科のBernt Alm氏らが、スペイン・バルセロナで9月7日から11日に開催された欧州呼吸器学会(ERS2013)で発表した。

 Alm氏らは、長期前向きコホート研究「Children of Western Sweden」の一環として実施したアンケート結果を解析した。

 対象はスウェーデン南西部の西スウェーデン(Vastsverige)地域における2003年の出生コホート(全出生児)から無作為抽出した8176世帯の小児で、両親に対し、出生6カ月、12カ月、4歳半、8歳の各時点で質問票への回答を求めた。対象者は同地域の出生児のほぼ半数に当たる。8歳時の質問票配布数は5044件、回収数は4051件で回収率は80%だった。

 その結果、8歳時に441人(11.3%)が直前12カ月間にアレルギー鼻炎の治療薬を使っていた。アレルギー鼻炎の平均発症年齢は5.1歳。61.9%が男児だった。

 単変量解析でアレルギー性鼻炎との関連についてP<0.1だった因子で多変量解析を行ったところ、アレルギー性鼻炎と有意な正の関連性がある因子として、親のアレルギー性鼻炎(オッズ比[OR]:2.73、95%信頼区間[CI]:2.12-3.52)、生後1年以内の食物アレルギー(OR:2.45、95%CI:1.61-3.73)、生後1年以内の湿疹(OR:1.97、95%CI:1.50-2.59)、新生児期の抗菌薬投与(OR:1.75、95%CI:1.03-2.97)、男児(OR:1.35、95%CI:1.05-1.74が得られ、また負の関連性がある因子として、4歳半時の農村生活(OR:0.31、95%CI:0.13-0.78)が特定された。

 これらの結果についてAlm氏は、「学齢期のアレルギー性鼻炎に関連する有意な因子として、出生早期のアレルギー傾向や家族因子に加え、新生児期の抗菌薬使用が促進因子として、また就学直前の農村生活が保護的因子として特定された。これらは、衛生的すぎる環境がアレルギー性疾患のリスクを増加させるという衛生仮説を補強する結果だ」と指摘した。

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