日経メディカルのロゴ画像

NEJM誌から
汚染ヘパリンのOSCSがアナフィラキシー様反応を引き起こす
OSCSがキニン-カリクレイン系を活性化し補体系の産生を誘導

 透析患者に重症のアナフィラキシー様反応を生じさせた汚染ヘパリンに混入していた過硫酸化コンドロイチン硫酸OSCS)を、ブタに投与すると患者と同様の反応が起こることが確認された。米国Momenta Pharmaceuticals社のTakashi Kei Kishimoto氏らの報告で、詳細はNEJM誌2008年4月23日号に掲載された。

 米国で透析患者の急性過敏性反応の報告が増えたのは2007年11月以降だ。患者は低血圧、顔面浮腫、頻脈、蕁麻疹、吐き気などの症状を示した。米国疾病管理センター(CDC)は、発症者がBaxter Healthcare社のヘパリンを使用していたことを突き止め、2008年1月17日には9ロットのヘパリンが回収された。米国内では、2007年1月1日から2008年4月13日までに問題の製品を投与された患者のうち、81人がアレルギー反応または低血圧の症状を示した後に死亡している。

 このほかドイツでは、別の会社が製造したヘパリンの投与を受けた透析患者の一部にも同様の反応が見られた。その後、少なくとも12カ国でヘパリンの汚染が報告されている。

 先頃、汚染ヘパリンに混入していたのはOSCSであることが明らかになった(Nature Biotechnology誌電子版2008年4月23日、概要はこちらで閲覧できる)。そして、汚染ロットには最高30%(質量比)のOSCSが混入していたことも明らかになった。それ以外の混入物は見付からなかった。このOSCSを調べたところ、天然のコンドロイチン硫酸には存在しないタイプの硫酸化が認められた。構造的にはヘパリンに類似していた。

OSCSがヒト血漿中のキニン-カリクレイン経路を直接活性化
 次に行うべきは、OSCSが患者に見られた重症のアナフィラキシー様反応を引き起こすのかどうかを確認することだった。そこで著者らは、米国食品医薬品局(FDA)から、患者に症状が現れたとされる13ロットと、対照として用いる16ロットのヘパリンを入手した。

 陽性コントロールとして用いるために、コンドロイチン硫酸Aを化学的に修飾し過硫酸化してOSCSを合成した。一方、汚染ヘパリンからはOSCSを精製し、陽イオン交換クロマトグラフィーとアルコール沈殿を用いて高純度のOSCSを得た。2次元NMRなどの技術を用いて合成OSCSと厳密に比較し、同一であることを確認した。

この記事を読んでいる人におすすめ