日経メディカルのロゴ画像

BMJ誌から
ステロイドは急性呼吸窮迫症候群の予防・治療に有効か?
メタ分析では明確な利益示せず

 ステロイドが成人重症患者の急性呼吸窮迫症候群ARDS)の予防・治療に有効かどうかを評価したメタ分析の結果、ステロイド投与の明確な利益は示されなかった。インド・クリスチャン医科大学・病院のJohn Victor Peter氏らの報告で、詳細はBMJ誌電子版に2008年4月23日に掲載された。

 ARDSの死亡率は40~60%と高い。ARDSの病態には炎症が関与するという考えに基づいて、ステロイドによる治療が有効だと期待されてはいるが、その有効性を示す一貫した結果は得られていない。

 著者らは、1966年から2007年4月に各種データベースに登録された無作為化試験のうち、ステロイド投与なし群を対照として、成人の重症患者のARDS予防にステロイドを用いた研究、または、ARDS治療にステロイドを適用した研究を選出した。

 9件の試験(患者合計は1073人)からデータを抽出し、ステロイドがARDS発症リスクと死亡リスク(オッズ比)、人工換気を必要としなかった日数(平均差)に及ぼす影響を、階層ベイズモデルを用いて分析した。

 ベイズ確率として、オッズ比が1以上になる確率、または平均差が0以上になる確率を求めた。この確率が50%であれば介入は無効であり、確率90%以上なら有害(発症または死亡を増やす)が示唆される。一方、人工換気不要日数に関する平均差の分析では、確率が90%以上は患者に対する利益(人工換気不要日数が多い)を意味する。逆に確率10%未満は有害であることを示している。

 分析対象となった試験では、様々な用量、様々な投与期間でステロイドが用いられていた。用いられた用量は1mg/kg/日から120mg/kg/日、投与期間は4時間から30日まで幅広かった。

この記事を読んでいる人におすすめ