1)7対1看護は看護師不足を表面化させただけ
今から1年以上前、2007年1月14日付の読売新聞は、「看護師不足、全国の病院で争奪戦」(社会部岩永直子)と題して、診療報酬改定による7対1看護導入の影響を報じました。
記事中でも指摘がありましたが、日本の看護師の養成数や離職率は最近になって急激に増減したというわけではありません。7対1看護導入の前後で病院報告(平成17年、平成18年各10月)の常勤換算看護師数を見ると、全国で56万7968.9人から59万6544.9人へ、1年間で2万8576.0人と約5%増えています。
患者さんの数もまた、この数年で急増したわけではありません。同じ病院報告では平均在院患者総数は138万2190人から135万8965人とむしろ1.7%減少し、年間退院患者数でも1411万5769人から1432万3777人と1.5%増えたに過ぎません。
それでも、その後も病棟閉鎖の報道は後を断ちません。何が起こったのでしょうか。
都道府県別に見てもあまり変化は目につかず、7対1導入前後で病院看護師が減ったのは、岩手県だけです。ところが退院患者数の全国平均である1.5%増と比べ、それに達しなかった県は東北5県(青森、岩手、宮城、山形、福島)に島根を加えた6県へと拡大します。これらの県では、患者さんの本来の自然増に耐えられるだけの看護師の増員が得られなかったということになります。
これを二次医療圏単位で見ると、やはり自然増すべき増員の得られなかった医療圏は122、得られた医療圏は237となります。実に3分の1の医療圏で看護師不足が悪化しました。
この中で最も多く減らしたのは埼玉県中央保健医療圏(さいたま市、鴻巣市、上尾市、桶川市、北本市、伊奈町、川口市、蕨市、戸田市、鳩ヶ谷市)の178.9人(97.3%)で、最も増やしたのは東京都区中央部保健医療圏(千代田区・中央区・港区・文京区・台東区)の2382.3人(130.9%)でした。
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