昨年の10月にこのブログに「救急車のタクシーがわり利用」の話題について書きましたが、救急車の濫用といわれるものの中に、「寂しいから救急車を呼んだ」というパターンがあります。
先日もテレビのあるニュース番組で、独居の寂しい高齢男性がほろ酔いで119番してしまった後始末の風景を見ました。核家族、個族から生まれる「孤独」。こんなダシャレにもならない寂しそうなおじいちゃんフーリガンでした。
5月6日の読売新聞は、こういった”トンデモ」119番”、ならぬ”トンデモ110番”、警察署への困ったクライシスコールの逸話を掲載していました。
昨年夏に、大阪府内の警察署に、「ゴキブリが家の中に出てきて、気持ちが悪い」という電話がかかってきました。対応した署員は、「自分で駆除できるだろう」と依頼を断ったそうですが、再び「本当に困っている。来てくれ」とのお助けコールが来ました。
最寄りの交番から50歳代の警察官が電話の男性宅を訪れると、おびえた目つきでゴキブリを見つめる若いカップルが待っていたそうです。警察官はゴキブリを駆除し、死骸をビニール袋に入れて持ち帰りました。
こんな話も載っています。今年2月中旬、千葉県内の警察署に女性から「恋人に振られてしまった」と電話がありました。女性は約20分間、相手の人柄や交際の経緯を話し続け、翌日から連日のように電話をしてくるようになったそうです。
夜の当直体制で人手の少ない時間にこんな電話をかけてこられれば、警察本来の治安を守る業務や緊急事件にかけつけるマンパワーを奪われてしまいます。
5月7日の日刊スポーツも、実際に起こったこの手の困った事件を報じています。5月6日に愛知県の一宮署に32歳の男性が包丁を手にしたまま侵入し、無言で署の受付を通り過ぎて署員に呼び止められました。
その男は、「刺したら捕まるか。自分を刺してもか」と興奮した様子で警察官に近づいたといいます。50歳の男性警察官が説得すると、抵抗することなく取り押さえられたそうですが、男は「彼女とのトラブルで話を聞いてほしかった」と供述しているといいます。
銃刀法違反の現行犯逮捕ということで一件落着していますが、「なんだそんなことで」、そして「何でそんな形で」というトンデモ警察サービス希望事件です。
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著者プロフィール
竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。
連載の紹介
竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。
この連載のバックナンバー
2010/08/17
2010/08/10
2010/07/27
2010/07/20
2010/07/13