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『安心と希望の医療確保ビジョン』第7回会議傍聴記
アドバイザリーボードは大臣が選んだのか?
川口恭(ロハス・メディカル発行人)

2008/05/09

 先月21日に開催されたのだが、報告がスッカリ遅くなってしまった。出版業界特有のGW進行というのがあって本業が忙しかったのが理由の一つ。もう一つは、会議の進行が期待していたものと余りにも異なったために、どう総括したら良いのか頭が混乱してしまったから。

 今まで、アドバイザリーボードの3人が各界からの意見陳述を行司のように捌いていた。で、その3人がいよいよプレゼンテーションをしたわけだ。行司なんだから力士とは違うことをするんだろう、今までの陳述を当事者としてビジョンに昇華させるんだろうという期待に反して、今までの意見陳述人と全く同じ次元の「物申す」スタイル。で、何が何だか分からなくなってしまったのだ。

 そうはいっても、さすがに10日間も寝かせておくと、だいぶ考えがまとまってくる。要は『ビジョン』という言葉をどう解釈するか、厚生労働省の事務方や会議参加者たちが思っていたのと、私が思っていたのとでだいぶ異なっていたわけだ。

 そしてそのズレは、私が霞が関の「常識」に無知であるというのと、でもこの会議に関してはむしろ「常識」外のことこそ求められているはずなのに、大臣以外のプレイヤーは粛々と「常識」に従ったという二つから、私にとって甚だ気持ち悪く感じることになったと考えている。

 では、報告に移ろう。

 まずは舛添大臣の冒頭挨拶から。

「今までに薬の話がなかったので、虎の門病院の林先生に来ていただいた。そのお話の後で、3人にそれぞれプレゼンしてもらって、今日とあと1回くらいでまとめたい。長期的なビジョンにつながるものにしたい。総理もこの研究会への期待は非常に大きいので、この会議の結論がそのまま政府の提言になるので、しっかりと取りまとめたい」

林昌洋・虎の門病院薬剤部長
「虎の門病院は病床数876床で医師数303名、薬剤師数30名、急性期病院であり教育・研究も行っている。薬剤部は院外処方箋発行後に、病棟薬剤科と病棟サテライト薬局、手術室サテライト薬局の組織を新たに設けた。

 チーム医療における病棟薬剤師の役割であるが、当然、薬の専門職として何をするかということになる。薬には物質とそれに付随する情報の二つの側面があり、物としての薬を志向した業務としては薬の調製・供給管理・品質管理などがある。こちらは伝統的な薬剤師の仕事だ。

 もう一つの情報を志向した業務が病棟薬剤師の主な仕事ということになる。ベッドサイドにおいて、患者志向で情報を臨床応用する。患者さんと面談し、お一人ひとりの問題点を把握し、より有効で安全な治療計画立案のために、処方提案や処方設計支援を行うことになる。医師業務に適切に参加し支援することで、医師の負担軽減にもつながる。

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