経口糖尿病治療薬の使用と骨折リスクの関係を調べるケースコントロール研究の結果、チアゾリジン系糖尿病治療薬が大腿骨頸部や手首の骨折のリスクを2倍以上に高めることが示された。スイスBasel大学病院のChristian Meier氏らの報告で、詳細はArch Intern Med誌2008年4月28日号に掲載された。
チアゾリジン系薬剤は比較的新しい薬剤だが、米国では既に処方される経口糖尿病治療薬の21%を占めるまでになっている。前臨床試験と臨床試験の結果は、チアゾリジン系薬剤が骨形成を抑制し骨吸収を促進して骨に有害な影響を与える可能性を示唆していた。
著者らは、チアゾリジン系薬剤の使用が増加していることから、骨折リスクとの関係を明らかにする必要があると考え、チアゾリジン系薬剤または他の経口糖尿病治療薬の使用と骨折リスクの関係を調べるネステッド・ケースコントロール研究を実施した。
英国一般診療研究データベース(GPRD)を用いて、30~79歳の糖尿病患者で1994年1月から2005年12月の間に、チアゾリジン系薬剤(ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン)、スルホニルウレア系薬剤(グリブリド、グリクラジド、トルブタミン、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド)、ビグアナイド系薬剤のメトホルミン、αグルコシダーゼ阻害薬のアカルボース、食後血糖降下薬(レパグリニド、ナテグリニド)の処方を1回以上受けていた患者5万48人を同定した。インスリン併用の有無は問わなかった。
同様に、30~79歳の糖尿病患者で、これら薬剤とインスリンの処方を受けたことがない1万6648人を選出した。
ケースは、上記の患者の中で、糖尿病診断後、または経口糖尿病治療薬の初回使用以降に、初回の低外傷性骨折を経験した30~89歳の患者とした。骨折前から骨粗鬆症と診断されていた患者やビスホスホネートを使用していた患者は除外し、1020人を選んだ。コントロールとして、ケースの患者と年齢、性別、かかりつけ医などがマッチする患者を、ケース1人当たり4人、計3728人選出した。
平均年齢は60.7歳。女性は54.8%。低外傷性骨折の内訳は、手首/前腕が301人、大腿骨頸部が274人、上腕が222人、肋骨が148人、脊椎が56人、その他が19人だった。
ケースのうち208人が経口糖尿病治療薬またはインスリンを使用していなかった。同様の患者がコントロールには762人いた。ケースで経口糖尿病治療薬使用歴があった812人のうち、チアゾリジンを使用していたのは65人で、全員が他の糖尿病治療薬を併用していた。残る747人は他剤を使用していた。
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