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「医療/公衆衛生×メディア×コミュニケーション」第10回 ヘルスコミュニケーションの専門性<2>
医療系広告代理店からヘルスケアコミュニケーションエージェンシーへ
林英恵(「臨床+α」広報・渉外担当)

2008/06/23

 前回と今回は、連載後質問が多かった、医療系広告代理店の仕事を紹介します。広告のスペースを中心とした、広告代理店の成り立ちについて書きました。コミュニケーションエージェンシーと呼ばれるようになるほど、仕事が多様化している中で、医療系の広告代理店がどのようなことを行っているか、今回は説明していきたいと思います。

【薬の広告から発展してきた医療系広告代理店の仕事】

 日本の医療系広告代理店の歴史は、薬の広告を中心に発展してきました。この場合、中心的なクライアントは製薬会社です。

 医療に従事していらっしゃる方はすでにご存知のとおり、日本では、医療用医薬品の広告を一般の人向けに出すことができません。その一方で、薬局で処方箋なしで購入することができるOTCOver the counter)と呼ばれる一般医薬品と呼ばれるものは、毎日広告を目にしないことがないほど、テレビ、新聞、雑誌等で一般向けに積極的な広告活動が行われています。

 つまり、この薬の形態に合わせて、医療用医薬品を売る医療従事者(主に医師)向けの広告と、一般用医薬品の直接の購入者である一般向けの広告の製作ということを通じて、コミュニケーション活動が行われてきました。

 具体的には、医療用医薬品の広告に関しては、普段医療従事者の皆様が眼にしているように、雑誌広告、MRが営業活動を行うための資材、ギミックと呼ばれるボールペンなどの製品のロゴなどが入った商品の開発、キーオピニオンリーダーと呼ばれる方々などを中心とした勉強会やセミナーの開催等があげられます。雑誌広告などに関しては、ターゲットが医療従事者に限られているため、専門誌や医療従事者向け媒体への掲載が主です。

 こちらに加えて、一般の方々に発売される製品で直すことができるとされる病気の疾患啓蒙等の疾患啓蒙を行うケースもあります。その場合は、(製品の名前を出すことが出来ないので伏せた形で)病院へ足を運んでもらうことを目的とした広告活動を行います。

 つまり、医療用医薬品に関しては、直接のターゲットである医療従事者向けと、その直接のターゲットのターゲットとなる一般向けの双方に対してコミュニケーションを行います。

 一方、一般医薬品に関しては、通常の一般消費財広告と同じように、対象が一般向けなので、テレビ、新聞、一般向け雑誌等マスメディアを中心とした広告活動を行います。

 医療用医薬品に関しても、一般医薬品に関しても、薬事法の関係で、広告に掲載できる文言等には、決まりごとがあります。また、昨今ではどの製品に関してもWEBサイトを通じた広告活動が盛んです。

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