日経メディカルのロゴ画像

判決の読み方(1)―医師が医師を訴えたある裁判の判決文を素材に

2008/02/05

 今回は判決文の読み方についてミニレクチャー風のお話ししてみたいと思います。

 そんな遠い世界のことなんて、と思われる方もいるかもしれませんが、医療にまつわる司法ネタは、医療事故調査委員会についての立法論や現在進行形の刑事事件など毎日のようにネットの世界に流れています。実際、これからの医療者は法律の世界と無縁でいることはなかなか容易なことでないように思われます。

 判決文なんて、そのまま読めば明晰に分かるだろうと言えなくもありませんが、自分が司法試験の受験生のころに読んだ判決文は、要約ですらそれほど読みやすいものではありませんでした。それならば、一度いちいち文章形式といった簡単なところにまで解説を加えて「読み方」をご説明するのも悪くないと思うのです。

 ということで、今回から4日連続で、最近出された医療訴訟判決を素材に、判決文の全文を提示しながら、読み方についてご説明を試みます。

 ここで取り上げる判決は、医師が医師を訴えて激しいつばぜり合いが展開された事件です。その内容も医療従事者にとって興味深く、レクチャーの素材としてうってつけではないかと思います。

 まず、事件表示です。

平成19年5月31日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成18年(ワ)第14387号損害賠償請求事件
口頭弁論終結日平成19年3月20日

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

この記事を読んでいる人におすすめ