さいたま地方裁判所越谷支部は3月25日、春日部市立病院の入院患者の家族に対して、春日部市が申し立てていた医療行為の妨害を禁じる仮処分を決定した。いわゆる「病院クレーマー」の迷惑行為を禁じたもので、患者側に対する仮処分は全国でも初めてという。
仮処分を受けたのは、春日部市立病院に入院する90歳代の女性患者の息子とその妻。共に60歳代で、春日部市内に在住している。春日部市によると、患者は2006年3月に同病院に入院したが、その直後から息子夫婦が病状について再三にわたり説明を要求。「多いときには日に5~6回、医師や複数の看護師に同じ質問を繰り返し、夜に再び電話で確認してきた。これが数週間にわたって毎日続き、いったんは収まっても再度繰り返されるなど、診療行為の妨げになっていた」(春日部市)。
状況を改善するため春日部市は07年5月、越谷簡易裁判所に対して「診療関係調整調停申立」を行った。しかし、3回の調停の呼び出しにもかかわらず、息子夫婦は「出席の理由がない」と上申書の提出のみで欠席。調停員から、話し合いによる解決は困難と判断された。
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