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「変更可」処方せん急増で潤う後発品メーカー
全体の5割強に急増? 薬局が普及のカギ握る

 沢井製薬が前年同期に比べて23.9%増、東和薬品が同9.5%増――。このほど発表された大手後発品メーカーの今年4~6月の売上高は、いずれも大幅な増収となった。新薬メーカーながら後発品にも力を入れる日本ケミファの4~6月の後発品売上高も12.4%伸び、最大手の日医工の2007年12月~2008年5月の売上高も前年同期に比べ15.8%増えている。

 後発品メーカーの決算は、4月の診療報酬改定に伴って実施された処方せん様式の再変更が、実際に後発品の使用増加につながっているかどうかを占う良い材料だ。改定後は、医師が処方せんに「変更不可」の署名をしていなければ、処方せんを受け取った調剤薬局が、先発品を後発品に変更できるようになった。

 今回の後発品メーカーの好業績の原因が、この制度変更にあるのは間違いない。事実、上場している大手薬局チェーンの決算資料を見ると、「変更可」の処方せんの割合が大幅に増加していることが分かる。

7割が「変更可」の大手薬局チェーンも
 例えばスギ薬局では、3月には「変更可」は受け取った処方せんの23.9%に過ぎなかった。しかし、4月および5月には7割前後に達したという。日本調剤でも、3月に19.4%だった「変更可」が、4月や5月は60%を超えている。日本保険薬局協会が実施した調査でも、「変更可」の処方せんの割合は57.0%に達している(回答を寄せた1641薬局の平均値)。

 これらのデータから、「変更可」の処方せんの割合が全国レベルで5割を超えていると推測しても、決して的外れではないだろう。

 薬局が先発品を後発品へ替えられるようにして後発品の使用促進を図る施策は、2006年4月の改定でも実施されたが、その効果は決して芳しくなかった。昨年11月、厚生労働省が中央社会保険医療協議会に提出した資料では、「変更可」の処方せんの割合は全処方せんの17.4%。うち実際に変更された割合は、8.2%。二つの数字をかけ算すれば、わずか全処方せんの1.4%でしか、後発品の投薬に結びつかなかったことが分かる(表1)。

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