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『安心と希望の医療確保ビジョン』具体化に関する検討会 第3回会議傍聴記
壊れかけているのは、医療ではなく社会、ということか
川口恭(ロハス・メディカル発行人)

2008/08/11

 今回も非常に密度の濃い議論が行われた。しかし聴いているうちに、何だか物悲しい気分になってきた。外で爆弾低気圧による雷鳴が轟いていたせいばかりではない。

 日本は本当に危機的な状況なんだなあというのが身に染みてきて、今までは医療者寄りの立ち位置で「医療が壊れかけている。医療が壊れると社会も壊れるぞ」と言ってきたのだが、実は既に社会が壊れていて、それが医療にも及んだに過ぎないのでないか、そんな気がしてきたからだ。

 もし、その感覚が正しければ、このビジョン会議だけでは恐らく何も解決しない。いやいや、ニヒリズムに浸る前に自分にできることをしよう。ということで報告開始。

 午前10時半開会。大臣は閣議が長引いたとかで1時間ほど遅刻。小川委員が欠席。大臣と政務官は内閣改造に伴い交代。政治家が誰もいない中で淡々と始まる。

 例によって資料が大量に出ているので、それは厚労省のサイトで後日見てほしい。今回は参考人が2人来ていた。メンツは、こちらをご参照あれ。

高久
「今回は2人の方からお話をいただいて救急を含む地域医療について議論したい。時間があれば前回の問題、さらに時間があれば次回議題にする予定のコメディカルの問題についても議論したい。

 2人のお話を伺う前に海野委員から今まで2回の論点整理をしたものについて説明していただく。この点について議論すると時間がなくなっちゃうので、座長の独断だが簡単に説明してもらう」

海野
「過去2回、難しい議論をしてきた。そんな中でコンセンサスを得たと言えるであろうものを個人的に整理してみた。大きく分けて医師の数の問題と研修の問題があったと思う。

 まず医師数。(ア)(イ)(ウ)は基本的データ。(エ)で、医師数増加が必要ということは一致したであろう、と。(オ)は具体的な増加方法について、10年程度医師養成数を増加させ、その後需要の減少に合わせて減らして現状程度まで戻していくということで全体として意見の一致を見たのでないか。

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