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後期研修の費用はどこから出すのか?出せるのか?

2008/10/28

 今回は、ブログにたくさんのコメントをいただいているので、それに答える形で話しを進めていきます。

 いくつか見られたのが、「医療における安心・希望確保のための専門医家庭医のあり方に関する研究班」のメンバーが中央の大学の先生ばかりであるとか、土屋のような東京の真ん中にある大病院の院長に地域医療の何が分かるのか、といった類の意見です。これについては、確かに各地域をこまめに見ることも重要だけれども、その前に大枠をとらえておく必要があって、それこそがこの班会議の目的であるとまず申し上げたい。

 各現場で頑張っていらっしゃる先生から見ると、私たちのところまで気が回っていないんじゃないかというご批判は当然あるでしょう。それはぜひこの場で伝えていただきたい。それらがたくさん集まると全体が見えてくるということがありますので。こういう会を日本でやると、東京中心になるという批判があるのは重々承知です。

 班の先生方にも、最初のあいさつで利益代表としての発言はなるべく慎んでほしいとはっきり言いました。専門領域の問題にしても、地域性の問題にしても、今まさに「偏在」を批判されているわけですから、その点は各委員が意識していただきたい、と。

 さらに、このブログあるいは班会議のホームページに寄せられる意見を聞きながら、議論の方向性の軌道修正していくつもりです。そのつもりだからこそ、こういう場を使わせてもらって、非公式な説明もしているのです。

 僕自身のことについて言えば、横浜、東京で育ちましたから、地方のことは分からないだろうと言われれば二の句が継げません。ただ2つ、自分なりに理解できる素地があるんじゃないかと思っているところがあります。

1つは、大学を出て3年間、川崎市にある日本鋼管病院で外科医としての研修を受けたことです。その間は大学病院には1日もいなかった。いわゆる都会ではあるけれども、中小病院の悲哀は十分味わってきています。

 国立がんセンターのレジデントの後、今は東病院としてかなり大きな病院になっていますが、当時はまだ結核療養所であった国立療養所松戸病院で働きました。当時は肺癌が年15例ぐらいしかない病院でしたから、事実上2年間は結核の療養所の医者として、外科医兼結核内科医としてやっていました。

著者プロフィール

土屋了介(国立がんセンター中央病院院長)●つちや りょうすけ氏。1970年慶応義塾大卒。慶応病院外科、国立がんセンター病院外科を経て、2006年より現職。

連載の紹介

土屋了介の「良医をつくる」
「良医を育てる新しい仕組みをみんなで作り上げよう」。医学教育、専門医制度の論客として知られる土屋氏が、舛添厚労大臣直轄の会議と同時進行で議論のタネを提供。医師、医学生、医療関係者から広く意見を募ります。

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