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第15回診療行為に関連した死亡に係る原因究明等の在り方に関する検討会 傍聴記
アリバイ工作は失敗した
川口恭(ロハス・メディカル発行人)

2008/11/04

 ついに15回に達してしまった。会場は四谷の弘済会館。前回までの議論は、こちらから。委員は、こちら。この日は、パブコメで第三次試案大綱案に懸念を表明していた団体から直接ヒアリングしようということで

・日本麻酔科学会 並木昭義理事長(札幌医科大学教授)
・日本産科婦人科学会 岡井崇常務理事(昭和大学医学部教授)
・日本救急医学会 堤晴彦理事(埼玉医科大学総合医療センター教授)

の3人を参考人として呼んだ。

 冒頭に加藤委員が、日弁連の基調報告書の中に含まれる院内事故調査委員会設置の際のガイドラインと『安全で質の高い医療を受ける権利に関する宣言』というものについて説明して、「国に対して、院内に公正で自律的な事故調査委員会が設置させるための施策を取ることと、医師や患者の立場を代表する者、法律家などで構成される第三者機関を設置するよう日弁連として宣言したもので、今日舛添厚生労働大臣にお会いしてご説明して要望してきたところだ。大臣は第三者機関については大事だという認識だったので今後進めていくんだろうと受け止めた」と述べ、プログラムがスタート。

 この検討会は、これまで大抵時間通りに終っていたのだけれど、今回は樋口委員すら一言も発言しなかったのに大変に長引いた。それもこれも、特に救急医学会の堤参考人が捨て身で正論を述べまくったから。

 少なくとも、これだけハッキリ検討会の議論を否定されたら、『意見は聴いて採り入れた』という論拠・アリバイにはならないはずだ(途中で座長が試みて失敗している)。参考人の正論と、委員数人の屁理屈とのコントラストが実に鮮やかなので、味わっていただきたい。

 最初の陳述は並木理事長。麻酔科学会が提出した資料はこちら。ほぼ、この資料を読み上げたので、最後に付け加えた一段落だけ記す。

「医療不信を招いたのは、医療者側の専門家としての自律性の欠如によるものと反省している。今後は有識者や国民のご協力をいただきながら安全と質の確保に努力する所存だ」

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