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近隣の病院同士が医師を相互派遣
独自採用に限界、人手不足の科を互いに補完

 人手に比較的ゆとりのある科の医師を近隣病院に週1、2日程度の頻度で派遣し、代わりに手薄な科の医師を派遣してもらう――。そんな取り組みが注目を集めている。医師不足への現実的な対応策として、今後広がっていくかもしれない。

 静岡県の掛川市立総合病院(450床)と袋井市民病院は(400床)は、今年4月から医師の相互派遣をスタートさせた。掛川市立総合病院が袋井に派遣しているのは、産婦人科と泌尿器科それぞれ2人の医師。産婦人科は各医師が週1日、泌尿器科は隔週1日の頻度で袋井に出向き、外来診療に当たっている。

 一方の袋井市民病院が掛川に派遣しているのは、循環器科医と放射線科医それぞれ1人ずつ。循環器科医は週1日、放射線科医は月1日、掛川市立総合病院で外来などを受け持っている。

 両病院は、将来の統合に向けて協議を続けており、相互派遣には、統合を視野に入れた人材交流の意味合いもある。だが、袋井市民病院院長の小早川雅洋氏は、「常勤医数が大きく減少し、科によっては、ほかの病院のマンパワーを借りないと運営できない状態になっていた。仮に統合の話がなくても、相互派遣は検討していただろう」と語る。

 こうした医師相互派遣は、医師不足に悩む地方都市の自治体病院を中心に広がりつつある。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は、「自治体病院で全科の機能を自前でそろえられるのは、今や県庁所在地の大病院だけ。医師を相互派遣したり、担うべき分野を取捨選択して“選択と集中”を図らなければやっていけない時代になっている」と話す。

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