「体にあざを見つけた場合も、それが看護や介護を一生懸命にした結果、体位変換などの時にできてしまったものなのか、それとも虐待によるものなのか、なかなか鑑別できない」。名古屋掖済会病院(名古屋市中川区)救急科医長の岩田充永氏は、虐待を疑うことの難しさについて、こう話す。
虐待かどうかは、高齢者本人からの訴えがあれば容易に判断できるが、実際には、本人も隠そうとするケースが大半。意思疎通が難しい認知症の高齢者などでは、本人が虐待を訴えても、逆にどこまで本当なのか判別できないケースもある。探偵よろしく“真実”を追求するのも限界がある。
では、どのようなケースで虐待を強く疑い、次のアクションにつなげていくべきなのか。
救急の現場で時折、高齢者虐待を目にするという岩田氏は、これまでの経験から「家族と同居しているのに、るいそうや低栄養が認められる場合には、虐待である可能性が高い」とアドバイスする。家族が十分に食事の世話をしないネグレクト(介護や世話を放棄する虐待)の可能性があるからだ。同様に、季節に合わない服装をしている場合も、ネグレクトや経済的虐待(勝手に財産を使ってしまうなどの虐待)の可能性を強く疑わせる(表1)。
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