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Lancet誌から
成人大うつ病に最良な第2世代抗うつ薬はセルトラリン
12種類を間接的に比較したメタ分析の結果

 第2世代の抗うつ薬12剤のうち、成人の大うつ病患者の急性期治療に最良の薬剤は、セルトラリン――。そんな結果がイタリアVerona大学のAndrea Cipriani氏らが行ったメタ分析で得られ、Lancet誌電子版に2009年1月29日に報告された。

 過去20年の間に、複数の新薬がうつ病治療に導入された。それらは互いに似通った構造を持ち、作用機序も同様と考えられてきた。ただし、それらの有効性が同等かどうかを比較したメタ分析では、一貫した結果が得られていない。

 著者らは、複数の薬剤を直接または間接的に比較するメタ分析の手法(multiple-treatments meta-analysis、mixed-treatment comparisons meta-analysis、network meta-analysisなどと呼ばれる)を用いて、第2世代の抗うつ薬12剤の大うつ病に対する効果と患者の受容度を評価した。

 コクランうつ・不安・神経症グループの臨床試験データベースに2007年11月30日までに登録された研究の中から、以下の抗うつ薬を、単剤で、成人の単極性大うつ病患者の急性期治療に約8週間(6~12週間を許容範囲とした)適用していた無作為化試験を選出した。分析対象となった抗うつ薬は、ブプロピオンシタロプラムデュロキセチンエスシタロプラムフルオキセチンフルボキサミンミルナシプランミルタザピンパロキセチンレボキセチンセルトラリンベンラファキシンの12剤。

 1991年以降に報告された117件(登録患者は2万5928人)の研究が条件を満たした。63%が欧州と北米で行われた研究だった。患者の64%が女性。平均治療期間は8.1週だった。

 主要アウトカムは、治療に反応した患者の割合と、割り付けられた治療から脱落した患者の割合に設定。分析はintention-to-treatで行った。

 治療に対する患者の反応は、治療終了時(原則的には8週の時点)のハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)またはモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)のスコアがベースラインから50%以上低下、または、臨床的全般印象改善度(CGI)スコアが大きな改善または非常に大きな改善を示した場合に、「反応あり」と判定した。

 脱落は、あらゆる理由により治療終了を待たずに投与が中止された場合、と定義した。

 有効性は111件の研究(2万4595人)を対象に、受容度は112件の研究(2万4693人)を対象に評価した。

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