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Lancet誌から
腰痛患者に迅速な画像診断は不要
1800人を対象としたメタ分析の結果

 腰痛治療のガイドラインは、重症を示唆する徴候のない急性腰痛の患者に対する画像診断を推奨していない。にもかかわらず、画像診断は広く行われている。米国オレゴン健康科学大学のRoger Chou氏らは、重篤な基礎疾患が見られない腰痛患者に対して、迅速に画像診断を行った場合と、画像診断なしに通常のケアを実施した場合の臨床転帰を比較した無作為化試験を対象に、メタ分析を行った。得られた結果は、迅速な画像診断は不要であることを示した。詳細は、Lancet誌2009年2月7日号に報告された。

 重篤な基礎疾患(癌、感染、馬尾症候群など)の徴候がない腰痛患者にも画像診断は利益をもたらすのか。著者らは、そうした患者が受診した場合に、早い段階で画像診断を行う方法と、イメージングなしで通常の治療を開始する方法の臨床転帰を比較する系統的レビューとメタ分析を実施した。

 MedlineとCochrane 臨床試験登録から、腰痛患者を対象に、迅速にイメージング(X線、MRI、CT)を実施したグループと、イメージングなしに通常ケアを適用したグループを比較した無作為化試験の中から、条件を満たした6件(登録患者数は1804人)を選出した。

 主要アウトカム評価指標は、痛み(SF-36の疼痛スコア、VASなどに基づく評価)または身体機能(Rolandの障害質問票などによる評価)とし、そのほかに、QOL(ED-5DやEiroQolなどで評価)、精神的な健康状態(SF-36の精神健康スコアやED-5Dなどで評価)、自己申告による全般的改善度、治療に対する満足度などを比較した。

 6件の試験の追跡期間は3週間から2年で、複数回の評価を行っている研究が多かった(6週間の時点と1年後など)。

 4件はX線検査、1件は、MRIまたはCTと、それらなしに通常のケアを開始した場合を比較していた。もう1件は、全員にMRI検査を行った上で、結果を担当医に告げるグループと告げないグループに患者を割り付け、その後のアウトカムを比較していた。

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