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NEJM誌から
メラミン高度曝露者の半数以上に結石なし
非曝露者と比較した結石リスクは7倍

 中国全土で2008年、メラミンに汚染された乳製品(粉ミルクなど)を摂取した小児に健康被害が生じた問題で、メラミン曝露小児の尿路結石症に関する詳細な調査を進めた中国北京大学第一病院のNa Guan氏らは、高レベルの曝露があっても半数以上は結石症ではないこと、メラミン関連結石症には特徴的な症状は認められないことを明らかにした。詳細は、NEJM誌電子版に2009年2月4日に報告された。

 メラミンに汚染された粉ミルクの摂取に起因するメラミン関連結石症について、その臨床症状や結石症リスクを高める素因に関する情報は、これまでほとんどなかった。

 著者らは、2008年9月17日から10月3日までの間に、スクリーニングを受けるために北京大学第一病院を訪れた生後36カ月以下の小児全員を対象に、メラミン曝露に起因する小児の尿路結石について、詳細な分析を試みた。

 親を対象に質問票を用いた調査を行い、人口統計学的情報(性別や年齢など)、メラミン曝露歴(摂取したミルクの製品名、摂取量、摂取期間など)、早期産か満期産か、症状(受診前3日間の発熱、嘔吐、下痢)などに関する情報を得た。

 加えて、乏尿、啼泣(特に排尿時)、浮腫や、結石の移動を示唆する症状の有無について聞き取り調査も実施した。

 主要アウトカムは尿路結石の存在に、2次アウトカムは臨床症状と検査値の異常、その他のメラミン曝露に関連する因子に設定した。

 血液検査では、血液尿素窒素、クレアチニン、ALTなどを測定し、尿検査では、微量アルブミン、トランスフェリン、α1マイクログロブリン、N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ、カルシウム:クレアチニン比などを測定した。

 腎臓と下部尿路の超音波検査を行い、腎臓の大きさや、腎盂、腎杯、尿管、膀胱の形態、エコー輝度、腎実質の厚みなどを調べた。患者は、尿路結石確定例、疑い例(エコー輝度に基づく)、結石なしに分類された。

 結石以外の異常が尿路には見られず、メラミン曝露が30日以上あった症例をメラミン関連結石症と見なした。

 当局の発表では、22ブランドの粉ミルクに0.1~2500ppmのメラミンが混入していた。メラミン混入量に基づいて製品を分類し、500ppm超を高レベル汚染、150ppm未満を中レベルとし、検出されなかったものをメラミン非含有とした(150~500ppmの間のメラミンが含まれていた粉ミルクは見付からなかった)。汚染粉ミルクを30日以上摂取した場合を曝露ありと判定した。

 分析対象となった589人のうち、341人(57.9%)が男児、248人(42.1%)が女児だった。汚染された粉ミルクを摂取した小児は421人いた。

 50人(有病率は8.5%)が尿路結石確定例と診断された。うち8人にはメラミン混入粉ミルク曝露歴は無なかった。112人は尿路結石疑い例で、尿路結石なしが427人だった。

 高レベルの汚染粉ミルクに曝露した小児は121人で、そのうち23人(19.0%)が結石確定例、30人(24.8%)が疑い例、68人(56.2%)が結石なしと診断された。

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