日経メディカルのロゴ画像

JAMA誌から
抗TNFα抗体製剤で帯状疱疹リスクが上昇
TNFα受容体製剤ではリスク上昇見られず

 腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害薬の投与を受けている患者は細菌感染を起こしやすい。であれば、潜在感染しているウイルスの再活性化も起こりやすいのではないか――。ドイツ・リウマチ研究センターのAnja Strangfeld氏らは、そうした仮説の下に、関節リウマチRA)患者におけるTNFα阻害薬の使用と帯状疱疹エピソードの関係を調べた。

 その結果、TNFα受容体製剤ではリスク上昇は見られないが、抗TNFα抗体製剤使用者の帯状疱疹リスクは1.8倍になることが明らかになった。詳細は、JAMA誌2009年2月18日号に報告された。

 今回分析対象としたのは、ドイツでRA治療における生物製剤の安全性と有効性を評価するために進行している前向きコホート研究、RABBITの登録患者。

 RABBITは、2001年5月から2006年12月までの間に、インフリキシマブエタネルセプトアダリムマブの使用を開始した、または従来型の抗リウマチ薬(DMARDs)が有効でないために別のDMARDsに切り替えた患者すべての中から、合意が得られた人々を登録。治療内容、臨床状態、有害事象を2011年まで前向きに評価する予定だ。

 ベースラインと3カ月時、6カ月時、それ以降も6カ月ごとに、治療に関する情報(使用している薬剤、使用を開始した薬剤、中止した薬剤)、病気の活動性、併存疾患、全般的な健康状態、痛みの程度、処方薬による有害事象等が記録されていた。

 著者らは、これらの中から、RA患者の帯状疱疹エピソードとその時期の薬剤使用に関するデータを抽出。帯状疱疹エピソード時にTNFα阻害薬を使用していた、または中止してから1カ月以内だった場合に、TNFα阻害薬使用に関連する発症と判断した。

 TNFα阻害薬については、全体を1つのクラスの薬剤として評価すると共に、抗TNFαモノクローナル抗体製剤(アダリムマブ、インフリキシマブ)と、可溶性TBFα受容体-IgG Fc融合たんぱく質(エタネルセプト)のそれぞれをサブクラスとする分析も行った。

 主要アウトカム評価指標は、TNFα阻害薬治療中の帯状疱疹エピソードのハザード比に設定。まず、TNFα阻害薬に帯状疱疹リスク上昇をもたらすクラスエフェクトがあるかどうか検討した。あらかじめ、DMARDsと比較したハザード比が2.0以上になれば、臨床的に意義のあるリスク上昇と判断することにした。次に、サブクラスの薬剤については、DMARDsと比較したハザード比が2.5以上になれば臨床的意義ありと見なす、と定めた。

この記事を読んでいる人におすすめ