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NEJM誌から
ドロネダロンが心房細動患者のイベントリスクを24%低減
37カ国が参加した無作為化試験ATHENAの結果

 治療が必要な不整脈の中で、最も多いのが心房細動だ。米国では過去20年間に、心房細動による入院患者の数が2~3倍に増加しており、有効で安全な治療薬の登場が待たれている。ドイツJ.W.Goethe大学のStefan H.Hohnloser氏らは、新たな抗不整脈薬ドロネダロンを心房細動患者に投与したATHENA試験で、偽薬に比べこの薬剤が心血管イベントによる初回入院または全死因死亡のリスクを24%低減することを示した。詳細は、NEJM誌2009年2月12日号に報告された。

 ドロネダロンはベンゾフラン誘導体で、構造はアミオダロンと類似しているが、安全性はアミオダロンに優るよう設計されている。

 ドロネダロンと偽薬を比較した多施設無作為化試験ATHENA(A Trial With Dronedarone to Prevent Hospitalization or Death in Patients With Atrial Fibrillation)は、37カ国の551医療機関で行われた。

 6カ月以内の心電図検査で発作性または持続性の心房細動または心房粗動が認められ、以下の危険因子を1つ以上持つ患者の登録を、2005年6月から06年12月30日まで実施した:70歳以上、高血圧で異なるクラスの降圧薬を2剤以上使用中、糖尿病、脳卒中/一過性脳虚血発作/全身性塞栓の既往、Mモード心エコーにより測定した左心房径が50mm以上、左室駆出分画が40%以下。

 試験期間中の死亡率が予想を下回ったため、途中でよりハイリスクの患者を登録するよう組み込み基準を修正。06年3月8日以降は、75歳以上の患者(危険因子保有の有無は問わない)と、70歳以上で危険因子を1つ以上持つ患者を登録し、70歳未満の危険因子保有患者の登録は中止した。

 当初から、NYHA分類でクラスIVのうっ血性心不全患者は登録から除外した。

 計4628人(平均年齢71.6歳、46.9%が女性)を登録。2301人をドロネダロン(400mgを1日2回)、2327人を偽薬に割り付けた。ベースラインの両群間の患者特性はよく一致していた。

 主要アウトカム評価指標は、心血管イベントによる初回入院または全死因死亡、2次評価指標は全死因死亡、心血管死亡、心血管イベントによる入院に設定。分析はintention-to-treatで行った。

 追跡は2007年12月30日まで行った。平均追跡期間は21±5カ月。中央値は22カ月だった。

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