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PEG修飾抗TNF抗体断片がクローン病の寛解維持に有効

 抗腫瘍壊死因子(TNF)抗体のFab’断片ポリエチレングリコール(PEG)で修飾した製剤であるセルトリズマブ・ペゴールが中等度から重度の活動性クローン病で、寛解を誘導したあとの維持に有効であることが大規模第3相臨床試験で明らかとなった。成果は6月24日のポスターセッションで、ドイツChristian-Albrechts大学病院のS.Schreiber氏によって発表された。

 研究グループは、0週目、2週目、4週目に400mgのセルトリズマブを成人の活動性クローン病患者(クローン病活性インデックスが220~450ポイント)の皮下に接種し、インデックスが100以下に低下し、効果があったと判断できた患者を対象にセルトリズマブの維持療法の効果を調べた。セルトリズマブの寛解導入療法で効果があったのは、668人中428人で64.1%の患者に寛解を導入することができた。維持療法は400mgのセルトリズマブかプラセボを4週間ごとに24週まで投与した。主要評価ポイントは、寛解導入に成功し、臨床効果が維持されていると考えられるC反応性たんぱく質(CRP)の濃度が26週目で10mg/L以下に維持されている患者の割合とした。寛解導入に成功した428人中216人にセルトリズマブを投与し、212人にプラセボを投与した。

 その結果CRPが26週目で10mg/L以下に維持されている患者はセルトリズマブ投与群では61.6%だったのに対して、プラセボ投与群では33.7%だった。さらに、CRPが26週目で10mg/L以下に維持されている患者で、クローン病活性インデックスの評価で寛解が達成されている患者の比率はセルトリズマブ投与群では42.0%だったのに対して、プラセボ投与群では25.7%だった。患者全体での26週目での寛解率もセルトリズマブ投与群では47.9%だったのに対して、プラセボ投与群では28.6%だった。副作用の多くは軽度から中等度のもので、最も多いものは頭痛だった。クローン病に関係ない重篤な感染症がセルトリズマブ投与群で3件、プラセボ投与群で2件確認された。

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