厚生労働省健康局結核感染症課の諮問会議である「第19回予防接種に関する検討会」(座長:国立成育医療センター総長の加藤達夫氏)が2月26日に開催され、2月23日に製造販売承認を取得した細胞培養日本脳炎ワクチン「ジェービックV」について検討が行われた。
検討会では、この新しいワクチンを速やかに定期接種として位置付ける必要があるとの意見で一致した。その一方、(1)今年のワクチンの供給可能量が限られる、(2)9~13歳未満の小児に対する第2期接種での安全性のデータが十分でない――、といった問題点があることも指摘。供給量の問題から、今シーズン、定期接種として積極的勧奨を再開することは難しいとの結論に至った。来シーズン以降、第1期の定期接種は復活しそうだが、第2期の安全性の問題についての対応策はまだ出ていない。
第2期の有効性・安全性は未確認
今年は需要に供給が追いつきそうにない。
新しいワクチンの製造販売元である阪大微生物病研究会によると、今年、供給可能なワクチン量は最大で約500万接種分だという。現在第1期の標準接種年齢である3~4歳未満の小児約100万人分の供給はできるが、接種対象年齢に当たる6カ月~90カ月齢(7歳)の小児や、接種が止まっている過去3年の対象者の多くが接種を希望した場合、全量を供給できない可能性がある。そのため同検討会は、2005年から差し控えられている日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨を今シーズンから再開することは難しいとの結論をまとめた。
第2期接種の安全性についての問題はさらに深刻だ。
新しいワクチンの臨床試験では、被験者のほとんどが第1期接種の対象である6~90カ月の小児であったため、添付文書には「(第2期接種での)有効性および安全性は確立していない」と記載された。そのため来シーズン以降、供給量の問題が解決されても、安全性が確認されなければ「第2期での接種で、新しいワクチンを定期接種にすることはできない」と同検討会座長の加藤氏は述べている。
現行ワクチンの原液製造は既に終了しており、早ければ2009年度中にも供給が完全に停止する。一方、新ワクチンの製造販売後調査の結果が出るまでには7~8年かかる。また、9~13歳の被験者を新たに集めて第2期の有効性・安全性に関する臨床試験を行ったとしても、結果が得られるまでに約2年はかかりそうだ。従って新ワクチンの第2期接種の安全性が確認できるまで、現行ワクチンを使い続けることも難しい。
厚生労働省健康局結核感染症課はこの問題について、「現時点では具体的には決まっていないが、3月19日の次回検討会までには何らかの対応策を提示する」と述べている。
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