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医師の過重労働で労基署が是正勧告
愛育病院、「総合周産期母子医療センター」指定を返上か?

記者会見を開いた愛育病院院長の中林正雄氏。

 東京都から総合周産期母子医療センター(以下、総合)の指定を受けている愛育病院(東京都港区)が、三田労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受け、「総合」の指定返上を検討している問題で、3月26日、院長の中林正雄氏が会見を開き、これまでの経緯などを説明した。

 愛育病院では、09年1月と2月の2回にわたり、労基署の立ち入り調査が行われ、3月17日に医師らの労働条件を巡って是正勧告を受けた。労基署が調査を行った背景には、昨秋、都内で起こった妊婦の救急搬送事故があるものと見られる。

 愛育病院は、労基署から、(1)労働基準法で定める時間外労働(月間45時間以内)の上限を守った上で、1日8時間の法定労働時間を超過した時間外労働については労働時間に見合った賃金を支払うこと、(2)8時間の労働後に1時間の休息を徹底すること、(3)時間外労働について職員団体と結んでいる協定(通称、36協定)の不備を改善すること、(4)これらを就業規則へ盛り込むこと――といった指摘を受けた。

 現在、愛育病院には15人の産科医がいるが、そのうち夜間勤務を担当している常勤医は6人。夜間勤務は常勤医と地域の非常勤医が1人ずつ、2人体制で行い、さらに医長以上の常勤医がオンコールを担当している。ただし、現状のままでは常勤医は月間5~6回の夜間勤務を担当しなければならず、時間外労働の上限を超えてしまう。

 こうした点について、労基署からの是正勧告を受けた愛育病院は、これまでの仕組みを変更し、常勤医だけで夜間勤務をまかなえない日は、非常勤医が2人で夜間勤務を担当し、常勤医2人がオンコールを担当することを検討している。

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