RSウイルス(RSV)関連の下気道感染で入院した乳児に、吸入ステロイド治療を速やかに開始し、その後3カ月継続した場合、再発性喘鳴を予防できるのだろうか。この問いを検証すべく、無作為化試験を行ったオランダUtrecht大学医療センターのMarieke J J Ermers氏らは、この治療による予防効果はなく、適用は支持しない、という結果を得た。論文は、BMJ誌電子版に2009年3月31日に報告された。
冬期の乳児入院の原因として最も多いのが、RSV関連の下気道感染だ。退院後、患者はしばしば再発性喘鳴を呈する。再発性喘鳴の発症にはRSウイルス感染の急性期に見られる炎症が関与する可能性が考えられており、急性期の抗炎症治療が喘鳴を予防するかどうかを調べる研究も複数行われたが、一致する結果は得られていない。また、喘鳴予防を目的として吸入ステロイドを用いた大規模研究はこれまで行われていなかった。
そこで著者らは、RSV関連の下気道感染後、早期に高用量吸入ステロイドの投与を開始し3カ月間継続する介入が、再発性喘鳴の発現や重症度に影響するかどうかを評価する無作為化二重盲検試験を行った。
2004年11月から06年2月の冬期に、オランダの19カ所の病院の小児科部門で患者を登録した。
生後13カ月未満の幼児で、以前は健康だったが下気道感染となり入院した患者を登録。RSV感染は免疫蛍光法により確認した。
ステロイド使用歴、心疾患または肺疾患の既往、喘鳴歴のある幼児は除外した。
条件を満たした243人(男児126人、女児117人)を、ヒドロフルオロアルカン-134a(HFA)-ジプロピオン酸ベクロメタゾン(従来の吸入ステロイドに比べ粒子が細かい、119人)200μg1日2回、または偽薬(124人)に無作為に割り付けた。治療開始はRSV感染確認から24時間以内とし、入院から3カ月間、加圧式定量噴霧式吸入器とスペーサーを用いて投与した。
追跡は治療終了から1年間とした。
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