日経メディカルのロゴ画像

NEJM誌から
心房細動へのアスピリン投与、クロピドを併用すべきか?
脳卒中は減るが大出血が増加――ACTIVE A試験の結果

 脳卒中危険因子を有する心房細動患者のうち、ワルファリンなどのビタミンK拮抗薬が適さない人々にはアスピリンが用いられる。ここにクロピドグレルを追加した場合の安全性と有効性を評価したACTIVE A試験で、併用により主要アウトカムの血管イベント、特に脳卒中のリスクは下がるが、大出血リスクが上昇することが分かった。カナダMcMaster大学のStuart J. Connolly氏らが、NEJM誌電子版に2009年3月31日に報告した。

 心房細動があると脳卒中リスクは約5倍に上昇する。ワルファリンなどのビタミンK拮抗薬は心房細動患者の脳卒中リスクを低減するが、出血リスクを高める上に用量調整が難しく、薬物間相互作用も懸念されるため、広範には適用されていない。代用としてアスピリンが用いられるが、脳卒中リスク低減効果はビタミンK拮抗薬に劣る。現時点では、リスクが高い患者にはビタミンK拮抗薬、リスクが低い患者にはアスピリンの適用が推奨されている。

 著者らは、急性冠症候群患者にはアスピリンとクロピドグレルの併用が有効であることから、心房細動患者においてもアスピリンにクロピドグレルを追加すると血管イベントリスクの低下が期待できるのではないかと考えた。

 そこで、脳卒中リスク上昇が見られる心房細動患者を対象に、アスピリン/クロピドグレル併用とアスピリン単剤の安全性と有効性を比較するACTIVE A試験を実施した。

 研究者たちは先に、心房細動患者を対象に、アスピリン/クロピドグレル併用とビタミンK拮抗薬の安全性と有効性を比較するACTIVE W試験を行い、ビタミンK拮抗薬の方が血管イベントリスク低減効果は高く、大出血リスクは少ないことを示す結果を得ている。

 ACTIVE W試験と並行して患者登録を行ったのが今回のACTIVE A試験だ。これら二重盲検の多施設無作為化試験の組み入れ基準は、登録時に心房細動があり、過去6カ月間に間歇性心房細動を2回以上経験していた患者で、以下の脳卒中危険因子を1つ以上保有、とした:75歳以上、高血圧で治療中、脳卒中または一過性脳虚血性発作もしくは非中枢神経系全身性塞栓症の既往あり、左室駆出分画が45%未満、末梢血管疾患、55~74歳で糖尿病または冠動脈疾患あり。出血の危険因子(6カ月以内の消化性潰瘍、頭蓋内出血の既往、顕著な血小板減少症、アルコール濫用など)がある患者は除外した。

 これらの患者のうち、ビタミンK拮抗薬適用の候補となる患者はACTIVE Wに、これが適さないまたは適用を拒否した患者をACTIVE Aに登録した。

この記事を読んでいる人におすすめ