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Lancet誌から
ステロイド性骨粗鬆症にゾレドロネート単回静注が有用
リセドロネート内服に劣らぬ効果、高い患者満足度

 ステロイド骨粗鬆症の予防と治療において、ゾレドロネートを年1回静注する方法と、リセドロネートを毎日内服する方法のどちらが有効で、患者にとって好ましいものだろうか。

 英国Aberdeen大学のDavid M Reid氏らは、欧米など16カ国で二重盲検の非劣性試験を行い、腰椎の骨密度の変化を指標にした場合、ゾレドロネートの効果はリセドロネートに劣らず、複数の点でゾレドロネートが有意に優ることを明らかにした。詳細は、Lancet誌2009年4月11日号に報告された。

 ステロイド薬を継続的に使用していると、骨量が減少し、骨折リスクが上昇する。経口ビスホスホネート製剤は、骨量を増やし椎骨骨折のリスクを低下させるが、服薬遵守率が望ましいレベルを維持できないという問題があった。

 そこで著者らは、ステロイド性骨粗鬆症の予防と治療において、ゾレドロネートの単回静注はリセドロネート経口投与に劣らないと仮定し、これを検証する1年間の二重盲検無作為化非劣性試験HORIZON(Health Outcomes and Reduced incidence with Zoledronic acid Once yearly)を、欧州12カ国とオーストラリア、香港、イスラエル、米国の54医療機関で実施した。

 対象は、プレドニゾロン換算で7.5mg/日以上の経口ステロイド治療を受けており、その後も投与が12カ月以上継続すると予想される18~85歳の患者。条件を満たした833人(68%が女性、14%が骨折歴あり)を、登録直前のステロイド使用期間に基づいて2分した:使用期間3カ月未満の患者は骨密度低下の予防目的のグループ(288人)、3カ月以上は骨密度低下の治療目的のグループ(545人)とし、グループごとに無作為に1対1でゾレドロネート5mgの単回静注またはリセドロネート5mg/日経口投与に割り付けた。

 予防グループでは、144人がゾレドロネート、144人がリセドロネートに、治療グループでは、272人がゾレドロネート、273人がリセドロネートに割り付けられた。

 試験はダブルダミー方式で行われた。ゾレドロネート群には1日目に5mgを静注しその後は偽薬を投与。リセドロネート群には1日目に偽薬を静注、その後毎日リセドロネートを投与した。

 主要エンドポイントは、12カ月の時点の腰椎(L1~L4)の骨密度(二重エネルギーX線吸収測定法による)のベースラインからの変化率に設定。2次エンドポイントは、12カ月時のその他の部位(大腿骨近位部、大腿骨頸部、転子部、橈骨遠位端)の骨密度と、胸部と腰部の椎骨骨折、骨代謝のバイオマーカー(βCTx、P1NP)などに設定。有効性はmodified intention-to-treat(治療開始後に1回以上評価を受けた患者を分析対象とする)で、安全性はintention-to-treatで分析した。

 主要エンドポイントの非劣性のマージンは、変化率の差の信頼区間の下限が-0.70%(治療グループ)または-1.12%(予防グループ)に設定、これを超えた場合には非劣性、と規定した。

 62人(7%)が、有害事象、同意の撤回、追跡からの脱落、死亡、割り付けの誤り、プロトコルからの逸脱により試験を完了できなかった。

 主要エンドポイントにおいて、リセドロネートと比較したゾレドロネートの非劣性と優越性が示された。12カ月の時点で、治療グループの腰椎の骨密度増加率の最小二乗平均は、ゾレドロネート群が4.06%(SE 0.28)、リセドロネート群が2.71%(0.28)、平均差は1.36%(95%信頼区間0.67%-2.05%、p=0.0001)。予防グループでは、2.60%(SE 0.45)と0.64%(0.46)、差は1.96%(1.04%-2.88%、p<0.0001)だった。

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