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東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科の森美賀子氏

関節リウマチ(RA)の診療数が多い全国の85医療機関における患者1万人以上の薬物療法の内容が明らかになった。これは、厚生労働省研究班「関節リウマチの有効な治療法選択のための定点観察と疫学データ収集体制の構築」による成果。東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科の森美賀子氏が、4月23日から26日まで東京で開催されている第53回日本リウマチ学会総会・学術集会で発表した。

 調査は、2007年9月から12月に、1施設当たり200人以上の患者データを供出できる85医療機関に対して質問表を送付して行われた。各都道府県から最低1施設を選出し、大学病院などの大規模病院を中心に、リウマチ科を標榜している病院・クリニックを対象とした。得られた1万427人のRA患者に対する薬物療法のデータを解析した。

 その結果、メトトレキサートMTX)は対象患者の56%で利用されていた。MTXの平均投与量は7±2mg/週だった。国内承認用量の8mg/週を超える投薬を受けている患者は、MTXの投与を受けている患者の13%を占めた。

 8mg/週以上のMTX投与を受けていた患者群は、年齢が高く、罹病期間が比較的短く、副腎皮質ホルモン抗TNFα抗体製剤の利用の割合が高い傾向だった。

 副腎皮質ホルモン(PSL)は63%で利用され、平均投与量は5±3mg/日であった。NSAIDsは、定時内服が54%、過去に定時で現在は頓服が19%、頓服が16%と、約9割の患者に何らかの形で投与されていた。

 生物学的製剤は、インフリキシマブエタネルセプトを合わせて20%の患者に投与されていた。インフリキシマブを現在使用している患者は全体の8%、過去使用が5%だった。インフリキシマブの中止理由は、無効58%、副作用32%、寛解10%。MTX併用率は98%だった。エタネルセプトの現在使用率は全体の12%、過去使用は1.5%。エタネルセプトの投与中止理由は、副作用63%、無効34%、寛解3%。MTXの併用率は56%であった。

 生物学的製剤の投与を受けている患者群は、年齢が比較的若く、RF陽性、抗CCP抗体陽性の割合が高く、DAS28スコアが高かった。また、ほぼ半数が、国内承認用量以上の投与を受けていたという。

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